要介護状態の改善や維持を目的に、川崎市が独自に取り組む「かわさき健幸福寿プロジェクト」の第3期が7月から始まり、253事業所(9月14日時点)が参加している。前期は年間344事業所が参加したが、市内の対象事業所数の1割に満たなかった。市は参加を促す一方、目標値は設定せず前年同数を目途としている。
同プロジェクトは、要介護度の改善が事業所の介護報酬減につながってしまう現行の介護保険制度の矛盾を解消しようと、2016年から開始。上がり続ける介護保険料の抑制も視野に入れ、利用者の自立支援に貢献した事業所を評価し報奨金を支給することで、介護サービスの質向上を目指す。第2期の参加利用者516人のうち要介護度が改善したのは73人で、報奨金対象となったのは126事業所だった。
参加対象の市内介護事業所や高齢者施設は計3944(4月時点)で、このうち同プロジェクトに参加したのは246(第1期)、344(第2期)と増加しているが全体の1割程度にとどまった。
介護ケアの意識向上に力点
介護ケアに対するスタッフの意識向上や多職種連携の活性化など参加意義を理解しながらも、現状はケアマネジャーから誘われないと参加しにくいという声もある。多摩区で訪問介護事業を営む女性は「回復見込みがあるかという見極めもポイント。参加検討中の利用者が骨折してしまい見送るケースもあった」と指摘する。
中原区で通所介護リハビリ施設を営む男性は「そもそも身体機能を維持、改善できるように日々取り組んでいる。現行制度の矛盾は経営者の悩みの種で、報奨金の5万円では補てんにはならない」と切実だ。
市担当者は「2年間を踏まえ、広報に関してパンフレット配布などでは足りないと、今年5月ごろから事業所に訪問して直接説明している。件数だけでは測れない事業なので、意義や意図を理解して参加してほしい」と話している。
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