神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
川崎区・幸区版 公開:2019年10月18日 エリアトップへ

ノーベル賞吉野氏 川崎時代、糸口つかむ 82年 「空白の時間」に発見

経済

公開:2019年10月18日

  • LINE
  • hatena
本紙のインタビューに応じる吉野氏=11日
本紙のインタビューに応じる吉野氏=11日

 旭化成名誉フェローで、かつて20年にわたり川崎区の研究所に勤務した吉野彰氏(71)=藤沢市在住=が10月9日、2019年度「ノーベル化学賞」の受賞者に選ばれた。携帯電話や電気自動車に広く使われるリチウムイオン電池の開発に加え、地球温暖化など環境対策への貢献が評価された。同氏は11日、本紙の単独インタビューに応じた。

 1972年に旭化成へ入社して以来、吉野氏は川崎区に勤務。92年に東京に転勤するまで研究課長などを務めた。「研究所に泊まりこんで全然帰れないような時期もあった」と当時を振り返る。

 1982年の年末、川崎技術研究所で休業前の大掃除を午前中に終えた日のこと。帰宅する社員もいる中、取り寄せたままになっていた文献に目を通そうと手に取った。そこで、現在のリチウムイオン電池の正極材料に関する文献を偶然見つけた。「何もすることがない、いわゆるエアーポケットみたいな空白の時間は自分でつくっておかないと、そういうのになかなか出会わないんでしょうね」とほほ笑む。

 「その材料が、そのときの負極材料と組み合わせると非常にいいということが文献的に予測できた。現在のリチウムイオン電池の組み合わせが決まった瞬間だと思う」。そして年明けを迎える。文献に書いてあったものを実際に作って組み合わせたところ、「非常にいい電池ができそうだ」というのが分かったという。

 川崎の臨海部では、これまでの勤務地で最長の20年を過ごした。「研究所からも見える夜景は昔からきれいだった。今はすごい人気でしょう。飛行機から見てもきれい」。川崎時代に思いをはせる。

 リチウムイオン電池は使い捨て乾電池とは異なり、繰り返し使える蓄電池で2次電池とも呼ばれる。小型で高性能なことから、スマートフォンやノートパソコンなどに広く利用されており、現代の情報社会における「要」ともいえる。

 3氏による共同受賞で、吉野氏はコバルト酸リチウムを正極とし、特殊な炭素素材を負極とする仕組みを開発した。日本人の化学賞受賞は8人目。

川崎区・幸区版のトップニュース最新6

川崎区版SDC始動

川崎区版SDC始動

地域課題解決へ

4月26日

多摩川に「モトスマリモ」

国内2例目

多摩川に「モトスマリモ」

河原の石から数年で発生

4月26日

歌で市制100年盛り上げ

地元演歌歌手吉村明紘さん

歌で市制100年盛り上げ

新曲『KAWASAKI』で

4月19日

かこさんのプレート披露

幸区

かこさんのプレート披露

ゆかりの公園で活動紹介

4月19日

仲間と歌いつなぐエール

能登半島地震復興ソング

仲間と歌いつなぐエール

市長や市議も「個人」で参加

4月12日

誘客拡大のヒント探る

川崎商議所

誘客拡大のヒント探る

スポーツ、観光事業者が意見交換

4月12日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 12月8日0:00更新

  • 8月4日0:00更新

  • 4月28日0:00更新

川崎区・幸区版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

川崎区・幸区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年4月26日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook