神奈川県の救急医療の発展に努めた団体や個人を表彰する2021年度「神奈川県救急医療功労者表彰」が9月9日に発表された。幸区から新塚越にあるゆりこどもクリニック院長の御宿(みしく)百合子さん(63)が受賞した。
御宿さんは2002年6月から運営が始まった川崎市北部小児急病センターや、川崎市幸休日急患診療所などに勤務し、初期救急医療に貢献。川崎市医師会で救急休日・小児急病担当理事を務めるなどの功績が認められた。受賞について「小児科医として当たり前のことをやってきただけ。賞をいただくようなことはしていない」と謙遜した。小児科医にとって入院の必要のない初期救急は通常の診療の延長にすぎないという。夜中にやってくる患者で本当に朝まで待てないような症状の子どもは1割に満たないが、「それでもいつでも診てもらえるという体制が大切」と話す。救急医療体制は個人でなせることではなく、チームでなければできないことだと語った。
同制度は1982年に9月9日が「救急の日」に制定されたことを機に設けられた。今年の受賞者は病院2、団体1、個人6人だった。市内ではほかに多摩区の豊田博史さんが受賞している。
実家の薬局が原点
御宿さんは慶応大学医学部卒業後、同大小児科科学教室、足利赤十字病院、JA神奈川県厚生連伊勢原協同病院を経て、1999年から川崎市立川崎病院に勤務。04年にゆりこどもクリニックを開院した。実家がかつて薬屋を経営していて、夜中でも電話がかかってくると母親が対応していたのを見ていた。「いつでもかかれることが大切なこと」と常に感じていたのだという。
川崎市は救急医療体制は整っているので安心してもらいたいとしながら、「自治会や学校などで救急蘇生の仕方など学んでもらいたい」とも。今はコロナ下で無理だが、いずれ中学や高校で蘇生術などを学ぶ機会を作れたらと思っている。
川崎区・幸区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|