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川崎区・幸区版 公開:2012年11月2日 エリアトップへ

「消えた」太郎作品を再現 市立川崎高校の美術教師

公開:2012年11月2日

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作品「室内」を制作中の大杉浩司さん
作品「室内」を制作中の大杉浩司さん

 岡本太郎自身の手によって全面的に描きかえられていた初期作品のうち加筆前の一部を、市立川崎高校の美術教師・大杉浩司さん(52)が再現制作した。作品は10月31日から岡本太郎記念館(東京都港区)で一般公開されている。

 同記念館からの依頼で、4月から制作を始めた大杉さん。岡本太郎美術館(多摩区)に10年以上勤務し、太郎研究に長く携わってきた実績と、多摩美術大学在籍時に油彩画を専攻していた経歴を買われての抜擢だった。

 加筆される前の太郎作品の再現は史上初の試みとなる。没後16年となった今も多くのファンを持つ岡本太郎。記念館から依頼を受けた時は「(色彩や構図を)決して間違えられない」とプレッシャーも感じたという。

 制作の際は、資料として残っていた加筆前の作品の写真をプロジェクターでキャンバスに直接投射。上からなぞるようにして描いていった。また、調査の際に撮られたX線写真を参考にして、筆づかいの再現にも最善を尽くした。絵画修復家・吉村絵美留氏の成分分析によって特定された絵の具の使用も、より正確な再現に一役買っている。

 高校の工芸準備室をアトリエに半年間をかけ、5作品を描き上げた。

制作の意義

 「作者自身が変えようとしたものを、無理に引きずり出してもいいのか」。制作当初、そんな迷いもあったという。しかし「なぜ完成した作品を壊してまで、新しい作品を描いたのか、という論点は生まれるはず。今後の研究において意義のあることだと思う」と胸を張る。

 大杉さんによると、上書きされる前の作品は構図や筆づかいが繊細で、緻密に描かれているのに対し、上書き後の作品はどれも荒々しいタッチだという。制作を通じて「明らかに元の作品を壊そうとしている」とすら感じた。「題名は上書き前と変わっていないから、モチーフも変わっていないはず。『作品に完成はなかった』ということなのか…」。大杉さんの中でも、まだ答えは出ていない。

3月まで展示

 再現制作されたのは「室内」、「二人」、「青春」(1951年)、「娘と犬」(1953年)、「動物」(1954年)の5点。長い間行方不明とされてきたが、近年の調査で、全面的に加筆され現存している事実が明らかになっていた。

 岡本太郎記念館で10月31日から開催している企画展「太郎発掘」で、上書き後の作品とともに展示されている。開催期間は来年3月3日まで。入館料は600円(小学生300円)。問い合わせは岡本太郎記念館(【電話】03・3406・0801)へ。

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