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川崎区・幸区版 公開:2022年7月1日 エリアトップへ

ホームレス支援CoE 手作りおにぎりで夜回り 社会復帰の手助け目指す

社会

公開:2022年7月1日

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炊飯器を手にする濱野さん(中央)
炊飯器を手にする濱野さん(中央)

 JR川崎駅東口付近の路上で生活するホームレスの人たちを支援しようと、20代の若者が動き出した。幸区在住の大学生、濱野怜さん(21)が代表を務める「CoE(コエ)」は毎週木曜日、手作りのおにぎりを配りながら、夜回りを行う。いずれは仕事の創出など、社会復帰につながる活動にしていきたいという。

 濱野さんがホームレス支援に関心を持ったきっかけは、昨年10月のこと。選挙の手伝いで夜中に翌朝の演説の場所取りをしていると、すぐそばでひとりのホームレスの女性が倒れた。その時の濱野さんは他人事で、ただ見ているだけ。すると、そばにいたホームレスの男性がかけより介抱。そして、その男性から「社会を変えると言いながら、目の前で困っている人を助けないのか。そんなんじゃ社会は変えられない」と言われ、その言葉が胸に刺さった。将来、政治家を目指し、口では「社会を変える、格差をなくす」などと言いながら無意識に、最も困っている人を視界から排除していた自分に気付き、恥じた。翌日、その女性に声を掛けるも警戒され、ほとんど話は出来なかった。それでもめげずに毎日、話しかけるうちに打ち解けるようになっていったという。

 大学のボランティアセンターにホームレス支援について相談するなかで、川崎で炊き出しなどの活動をする団体ともつながり、自分の活動のやり方が見えてきた。

 大みそかに、川崎駅前でホームレス支援を呼び掛ける手紙とホームレスの人の声を書いたメッセージカードを220人に配り、活動をスタートさせた。

かっこいい活動に

 今年1月から毎週木曜日に夜回りを始めた。現在は午後7時頃、リヤカーに自宅で5・5合の米を炊いてきた炊飯器を乗せ、教育文化会館(川崎区富士見)近くからスタート。歩道橋を越え、稲毛神社に立ち寄り、川崎駅バスロータリーまでを約4時間かけて回る。この間、約25人に現状を聞いたり、変わったことはないかなど声がけをする。今ではホームレスの人の定位置も把握しており、その場でおにぎりを握り、温かい状態で手渡す。ホームレスの人たちにとって、温かい食事は貴重で喜ばれるという。

 61歳の男性は「気さくに話してくれて気持ちがあったかくなる。本当にありがたいと思っている」と感謝を口にする。62歳男性は「声を掛けられて、最初はびっくりした。人と話す機会ほとんどないから、週1回でもこうして話ができるのは楽しい」と語った。

 濱野さんが今まで夜回りをしてきたなかで特に嬉しかったのは、自殺を考えていた人が自分の事を信じてくれて思いとどまり、一時的にでも施設に入ってくれたことだという。

 今後、支援活動を「楽しく、かっこいい活動」として広めていきたいと考えている。そのために活動の際には「CoE」のデザインTシャツを着ている。リヤカーや炊飯器もペイントなどしてファッショナブルにしていく予定だ。「CoE」のメンバーはコアメンバーが2人、ブレーン的存在が2人。これまでに手伝いなどで参加してくれた人は約20人いるが、これからも多くの人に興味を持ってもらえたらと思っている。

地域で支援を

 また地域とのコラボレーションも視野に入れる。例えば、おにぎりの米や具材については、今は濱野さんの自腹だが、地域の飲食店の協力を得て食材の調達とともに、味のバリエーションも増やしたい意向。ひいては地域と一体なったホームレス支援活動にしていきたいと考えている。

 さらに、ホームレス支援のための自動販売機の設置を思案中。毛布や最低限の備蓄食料を内蔵し、ホームレスの人が困った時に、数日はしのげるものに、また、デザインやメッセージカードを置いたりして、ホームレス支援の啓発活動につなげたい思いもある。普通の自販機として利用される分には、買うと支援につながり、機械の整備や商品の補充を働きたい人の仕事にしてもらえたら―。それが今の小さな目標だ。

 インスタグラム(@rei.hamano2000)で活動報告中。

市内161人、減少傾向

 川崎市が今年1月行った巡回による目視調査では、市内のホームレスの人数は161人。男性155人、女性6人。その内川崎区は88人、幸区は13人だった。居住する場所は河川が51人で最も多く、公園34人、道路31人と続く。市内ホームレスの人数は、2003年の1038人をピークに、9年から13年連続で減少している。市の担当者は、巡回相談員による自立支援センターの利用促進など、制度の周知を図ってきたことによる成果もあると分析する。

リヤカーを押して歩道橋を渡る
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声がけをする濱野さん
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お握りを握る濱野さんら
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