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歴史・芸能を後世に 県内唯一の養蚕農家 三田南在住 二見政一さん

文化

公開:2013年6月28日

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繭玉の様子を見つめる二見さん
繭玉の様子を見つめる二見さん

 厚木市には後世に残したい郷土芸能や歴史がある。その1つが、かつて県内各地でも見られた養蚕業だ。

 カイコの繭から生糸を生成する養蚕技術は、古代中国で生まれた。日本には紀元前200年ごろに伝わり、神奈川周辺で養蚕が始まったのは今から1300年前。

 厚木でも昭和40年代には500軒近い養蚕農家があったが、安価な外国産の普及に押され、国産生糸の市場は縮小。一昨年には国の養蚕農家への補助金制度が打ち切られ、これを機に県内の農家の大半が廃業に追い込まれた。

 こうした中、三田南在住の二見政一さん(80)は県内で唯一となった養蚕農家。祖父の代から春・夏・秋の年3回、カイコを育て続け、現在は妻と2人で作業している。

5000頭を育成

 自宅に隣接する作業場で、1回のサイクルで育てるカイコはおよそ5000頭。卵から孵ったカイコが繭を作るまではおよそ25日かかる。

 気候や温度、環境の影響を受けやすく、実際この春も、カイコの孵化に気付かず一度は全滅。茨城の研究施設から取り寄せた卵を再度育てることとなった。農薬が普及し始めた頃にはカイコの頭が赤くなり、繭を作らない現象に悩まされたこともあったという。

 カイコが食べるのは桑の葉。2000平方メートルの桑畑を所有する。カイコが喜ぶのは大きく育った桑の葉。「チッ素が多いと良いみたい」と話す。5000頭近いカイコが桑の葉を食べる音は「雨音みたい」だそうだ。

 繭作りが近づくと、カイコを一頭一頭仕切りで分けた箱に入れ、これを空中に吊るす。箱を吊るすのは、カイコの特性のため。「地面に積んでおくと、カイコが箱を出てどんどん上に昇って行っちゃう。それから繭を作る前にはフンや尿を出し切るので、それが繭にかからないのも目的」だという。1つの箱には約150頭が入り、それが幾重にも連なって吊るされている。

繭は化粧品や軟膏に

 繭はその後業者に出荷され、化粧品や軟膏に利用される。生糸の滑らかな質感を利用した軟膏は二見さん自身もお気に入りのようで「毛虫に刺された後に塗るとよく治まるんだよ」とにこやかに。

 「育てるカイコは今後増やすんですか」と聞くと「いやぁとてもとても」と苦笑。カイコの幼虫さながらゆっくり、マイペースだからこそ、養蚕の灯を消さずに続けてこれたのかもしれない。
 

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