第48回衆議院議員総選挙は、10月22日に投開票が行われた。小選挙区神奈川第16区(厚木市・伊勢原市・愛川町・清川村、相模原市と座間市の一部)は、自民党前職の義家弘介氏(46)が議席を獲得。希望の党前職の後藤祐一氏(48)は、重複立候補した比例で復活当選した。
同じ顔ぶれで、前回(2014年)は後藤氏が、前々回(12年)は義家氏が小選挙区を制してきた16区。
義家氏は、前回1489票の僅差で敗れた悔しさをバネに選挙戦を展開し、今回は1万4380票差で小選挙区を奪還した。前回劣勢だった厚木市、相模原南区でも票を伸ばし、厚木で5299票、南区で1071票の差をそれぞれつけて後藤氏を上回った。
NHKの開票速報で、小選挙区の当選確実が伝えられたのは、深夜0時40分過ぎ。市内旭町の事務所で、支援者らに拍手で迎えられた義家氏は「この議席は私のものではなく、私たちのもの。地元のため、国のため、皆様からお預かりした力に精一杯応えていきたい」とあいさつした。
後藤氏は解散前に民進党を離党し、希望の党の結党メンバーとして立候補するも惜敗。深夜1時過ぎ、比例復活を果たしたが厳しい表情で「力不足の政治家が”それでもお前やれ”と言って頂いた。謙虚な気持ちで、地元にもしっかり理解されるよう、現場の声を国会に届けたい」と述べた。
3度目の挑戦となった共産党新人の池田博英氏(54)は、前回よりも8684票伸ばすも及ばなかった。
市内の投票率は50・46%で、現方式で過去最低だった前回を1・95ポイント下回った。
総力で小選挙区奪還 自民党・義家弘介氏
前回2014年の総選挙。後藤氏に僅差で敗れた義家氏は、小選挙区の奪還に燃えていた。
「継続は、力なり」と、晴れの日も雨の日も、雪の日も毎週月曜日は朝6時から本厚木駅北口に立った。日々の政治の動きや政策への考え方などを綴った後援会通信「週刊よしいえ」も140号を超えた。
今回の選挙でも、激戦が予想されていた16区。河野太郎外務大臣や小泉進次郎筆頭副幹事長など、党の大物が相次いで応援に入った。「まだ当選圏内に入っていない」(陣営幹部)と、20日には安倍晋三総裁も本厚木駅北口で街頭演説会を行った=写真。
投開票日の22日、旭町の事務所には一緒に選挙を戦った市議や県議、後援会関係者、支援者など100人以上が詰めかけ、NHKの開票速報を見守った。深夜の当選確実の報に、事務所内は拍手喝采で、歓喜に包まれた。
義家氏は報道陣の取材に「後援会の皆様、支援議員団の皆様の総力に尽きる。お支え頂いた皆様のおかげでの勝利だと思う」と勝因を話した。
「初心忘れず」4期目へ 希望の党・後藤祐一氏
公示日の10月10日の出陣式よりもはるかに多い聴衆が、投開票日前日の21日、本厚木駅北口に集まった。雨の中、紫のレインスーツ姿で有権者と握手をして回る後藤氏。希望の党の小池百合子代表がマイクを握り応援に立った=写真。
自民党からの政権交代をめざし、消費増税凍結や原発ゼロ、しがらみのない政治を訴えた12日間。荒天時以外、後藤氏は自転車で選挙活動に臨んだ。
23日午前0時40分過ぎ、自民・義家氏の当確が報じられると、静けさに包まれた選挙事務所内。直後に事務所入りした後藤氏は、支援者の前で深々と頭を下げた。「小選挙区を負ければ選挙は負け。力不足だった」とし「民進党を離党し、希望の党結党メンバーとなったことに後悔はない。離党後の1カ月余りは非常に凝縮されて1年分くらいを過ごしたよう」と振り返った。
敗戦の弁の約10分後に入った比例復活の報。事務所内は湧き上がった。後藤氏は固い表情のまま、「党の公約や政策の実現に向けて、国民に分かりやすいかたちで活動していく」と4期目への抱負を口にした。
新規層に手応え 日本共産党・池田博英氏
「憲法を守り、貧困と核をなくす、消費増税中止、8時間働けば普通に暮らせる社会」を訴え挑んだ。
高校や大学の門前で対話を積み重ねるなど、若年層など新しい層への支持拡大にも力を入れた。投開票日当日、午後8時前に選挙事務所を閉め共産党事務所へ。その後、自宅で選挙速報を見守ったという。
翌23日、選挙事務所で開かれた「お疲れ様会」は、支援者ら約20人が集まり和やかに行われた。池田氏は「『今の政治を変えたい』との思いで献身的に手伝ってくれた皆様には感謝の気持ちしかない」と頭を下げ、また「48%が安倍政権に不信を抱いており、行き詰り追いつめられ再びの解散もあるはず。次までにどれだけ訴えていくか」と述べた=写真。
池田氏は今回で3回目の挑戦。得票率を2012年6・4%、14年9・0%、今回12・3%と、ほぼ3ポイントずつ右肩上がりに伸ばしている。「得票率も上がっており、新しい層へのPRに手応えを感じている。暮らしを守るため訴え続け、党として躍進していきたい」と抱負を語った。
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