▽おもちゃを無料で修理し、物や資源を大切にする心を伝えることで地域社会に貢献している「厚木おもちゃ病院」の5代目会長に就任した井川哲夫さん(飯山)。「生涯学習の一環として、自己の技術向上をめざし、次世代を担う子どもたちに科学的な興味を提供したい」と力説する。
▽厚木おもちゃ病院は、毎月第1、3日曜日に厚木市子ども科学館とアミューあつぎ、毎月第1木曜日に厚木ガスショールームリセでの定期的な活動のほか、市内児童館や市外への出張も行っている。昨年度は33カ所で開催し、設立の2011年から数えると680回にも及ぶ。最近、修理依頼の多いおもちゃは、ドローンやラジコン、電子回路仕掛けのもの。「まず電源関係を疑う。1つのおもちゃで2カ所壊れていることはないから」。これまで修理したおもちゃは約4000個。修理依頼は年々増えている。
▽おもちゃ病院の仕組みは、まさに病院そのもの。壊れたおもちゃを持っていくと、まず受付カルテを渡され、おもちゃの症状などの“問診”が行われる。その場で治るものは少なく、ほとんどが一時預かりの“入院”となる。預かり期間は最長2カ月で、修繕率は85%にも上る(部品代は実費)。所属会員22人が、それぞれの得意分野を活かし、機械系や電子系、縫製などを分担。お互いを“ドクター”と呼び合い、治った喜びを分かち合う良き仲間だ。「治ったおもちゃをお母さんと子どもが喜んで持って帰る姿を見ると嬉しいね」と目じりを下げる。
▽子どものころから物作りが好きで、定年後の余暇時間で社会貢献したかったという。「子どもたちには、お母さんに怒られても思った通りに、壊れるくらい遊んでほしい。壊れてもおもちゃは治せる。なぜ動かないか仕組みに興味を持ってみよう」とメッセージを送った。
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