厚木市飯山で養豚業を営む有限会社「臼井農産」(臼井欽一代表取締役)では、豚が発する咳の音を検知し、健康管理につなげる実証実験に取り組んでいる。臼井代表によると、豚の咳は呼吸器系の健康状態を示すバロメーターと言い、「品質向上に役立てたい」と取り組みの意義を話した。
実証実験は、デジタル技術を駆使した「スマート農業」の概念のもと、同社とベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン(株)、NTT東日本の3社共同で実施。およそ270頭を飼育する300平方メートルの豚舎に、ベーリンガーインゲルハイム社の咳音検知技術「サウンドトークス」を導入し、床から約2メートルの高さに検知器を8台設置した。
豚の病気は呼吸器系が多いといい、肺の負担は肉質にも影響するという。5000頭を飼育する同社では8人のスタッフが朝と夕方に豚舎を見回り、健康管理に当たってきた。
検知器は豚の発する咳の頻度を3色に発光するLEDライトにより可視化して通知する。咳の頻度に問題がなければ緑色、一定の水準を超えると黄色、著しく増加していると赤色に点灯する。データは豚舎内の温度や湿度といった状況と合わせて生産者が端末で確認できるほか、必要に応じて獣医師がシステムにログインして見ることも可能だ。
臼井代表は、これまで知識や経験に頼る部分が大きかったとし、「データによる可視化は、品質の向上や維持に役立つのでは」と期待を寄せる。実験は来年10月末まで行われ、蓄積したデータは養豚業の発展に役立てられる。
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