能登半島地震から約2カ月半。被災地では長期の断水とともに、トイレ環境の悪化が注目された。東日本大震災でも仮設トイレがすぐに届かず、汲み取りができなくなった記録がある。災害時のトイレについて地元の状況を聞いた。
厚木市では都心南部地震の避難者約1万8千人の想定をもとに備蓄を進めている。最も数が多いのは携帯トイレで、凝固材やビニール袋からなり、9400回分を備える。組み立て式の上屋構造に段ボールやポータブル型のトイレを組み合わせた簡易型は8万2千回分を備蓄し、不足の場合はメーカーから提供される仕組み。仮設トイレは市環境みどり公社との提供協定を結んでいる。マンホール上に設置して使うテント・便座セットのトイレは106基。また災害時だけ便座を付けて使う下水道直結の地下構造も厚木小、厚木第二小、厚木中、広域避難場所の荻野運動公園に計34基備えている。駅周辺の小中学校に集中して設置されているのは、災害で帰宅困難者が発生した場合を想定したものだ。
観光客想定して防災トイレ設置
愛川町では最大で4千人の被災者が1日5回使用することを想定、携帯トイレは1万回分、簡易式の電動トイレで1万2千回分備え、仮設トイレの協定も結んでいる。清川村でも直下型地震で1400人の避難者を想定し、携帯トイレ約7千個や簡易トイレ組み立て式50基、マンホール上設置型を10基とトイレ用テントを80個備えている。次年度は観光客の避難対策で宮ヶ瀬地区に災害用防災トイレ10基を設置する予算を計上している。
県は一日の排泄の平均を1人5回とし「最低3日間分、可能であれば7日間分」の携帯トイレの備蓄を県民に呼びかけてきた。仮に7日間分を備えると、1人あたり35回。「備蓄はなるべく充実させたい」(厚木市)と数は増やしているものの、最大規模の想定避難者が出た場合、市町村の備蓄だけには頼れない現状がある。
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