矢野真彩さんは、自修館中等教育学校の4年生。少年少女国連大使に応募したきっかけは、3年時に学校のオーストラリア短期研修に参加したとき、ホームステイ先のファミリーから、お風呂に入る時間を「(貴重な水を使うため)10分以内に」と言われたこと。同校の先輩も大使に選ばれていることから、その体験談を聞き憧れていたという。「世界の水と日本の水」をテーマにした小論文を提出し、見事選出された。
大使決定の連絡を受けたときは「すごくうれしかった」。事前研修で全国から集まってきた大使と出会い、「自分と同じように世界の課題について関心を持っている仲間と出会えたことが何よりの喜び」と話した。
ニューヨーク研修の最終プレゼンでは「”誰ひとり取り残さない”、というSDGs(持続可能な開発目標)という考え方」に共感を覚え、水が豊富な国に住む日本人として正しい水の使い方を考えるべきだと、「食品表示のように、商品を作るために水がどれくらい使われたかを明記すべき」と提案した矢野さん。マニラ研修では、現地の子どもたちに夢をたずねたところ、「先生になりたい」「警察官になりたい」という答えが返ってきた。この夢を叶えるために現状を変えていかなくてはならないと思ったという。
山口祐聖さんは、桐蔭学園高等学校の1年生。ジャーナリストの池上彰さんの特番を見て「水問題」に関心を持った。「命を支えている水を飲んで命を落とす人がいる、水汲みの仕事があって学校に行けない」という現状に衝撃を受けた。そんな折に国連大使の募集を知り、世界のことを勉強したいと応募した。「高校生で選ばれるのは全国で10人、絶対選ばれないと思っていたから選ばれて嬉しかった。一生懸命勉強してこようと思った」。
ニューヨークでの研修を終え、一番意識が変わったことは、「SDGsの17のゴール(目標)がすべて繋がっているということ。水問題が解決することで貧困問題や教育問題が解決することもある。これらの世界の課題は発展途上国だけでなく、互いに手を取り合って解決すべきだと」。その後のマニラでの研修では、「(貧困問題の現実を目の当たりにして)想定内だったことが、本当過ぎて想定外だった」という山口さん。現地訪問でうけた貧困の現実が衝撃的で「これを解決するために自分たちができることを改めて学んでいこう」と決意を新たにした。
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山口さん、矢野さんはこの夏の研修・体験をもとに、今後、学校や地域で啓発活動を行っていく。今後の大使としての抱負を「まずは日本では認知度の低いSDGsについて広めていきたい」と口を揃えた。
国際平和を学び、国際協力の必要性を伝える2018 JCI JAPAN少年少女国連大使とは…。
公益社団法人日本青年会議所が国際社会で活躍でき、次世代の国際化を進めていく担い手の育成のために実施している事業(後援/外務省、国連開発計画)。全国から30人(小学生20人・高校生10人)が選出された。今回選考された大使はニューヨーク国連本部(高校生)、ジュネーブ国連欧州本部(小・中学生)、フィリピンで「世界平和、持続可能な開発」について学び、帰国後は、地元地域での報告・啓発活動を行い、国際協力の必要性を伝えていく。
大使の2人が啓発していきたいというSDGs(エスディージィーズ/SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS)とは…
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた17の「持続可能な開発目標(SDGs)」のこと。2016年1月1日、正式に発効。今後15年間、すべての人に普遍的に適用されるこれら新たな目標に基づき、各国はその力を結集し、あらゆる形態の貧困に終止符を打ち、不平等と闘い、気候変動に対処しながら、誰も置き去りにしないことを確保するための取り組みを進めてゆこうというもの。
【世界を変えるための17の目標】
1. 貧困をなくそう
2. 飢餓をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
8. 働きがいも経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等をなくそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
タウンニュースでは、2人の大使の活動を今後も紙面で伝えていきます。ご期待ください。
■取材協力・資料提供/公益社団法人厚木青年会議所、伊勢原青年会議所
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