ホタル観察会を通じて自然保護を呼びかける「横須賀ほたるの会」会長 三ヶ田 康造さん 岩戸在住 62歳
「ほたる」きっかけに
○…久里浜緑地へとつながる野比海岸近くの山林。谷戸の原風景を残すこの場所に、全国でもめずらしいゲンジとヘイケが共存する「ホタルの里」がある。今時分なら、辺りが暗くなるにしたがって眩いばかりのホタルの光で満たされていく。「そんな素敵な空間が身近にあること知って欲しい」。同じ気持ちを共有する仲間とともに20年以上も観察会を続けている。今年も100人を超す参加者を集めて、ホタルの明滅を皆でじっと追いかけた。
○…高度成長期の急速な都市化。自然環境が破壊されていったのは横須賀も例外でない。移り住んだ25年ほど前。近所を流れる岩戸川の生物は減少の一途を辿っていた。そんな折、小学生だった娘から「岩戸川でホタルを育てる活動が始まる」との話を聞かされた。自分は「便利さの恩恵に浴して、自然を汚していたひとり」だったが、連れ出された幼虫放流をきっかけに再生活動にのめりこんでいった。
○…住民と行政のタッグで挑んだこの先駆的な動きは、全国的な話題を呼んだ。一定の成果を収めたことで2002年に放流を終えたが、岩戸川では、季節になるとホタルが飛び交っている。今年は188匹を確認した。ホタルは環境の変化に敏感で「存在そのものものが自然状態のバロメーターとなる」。地域では「川を汚さない」を旗印に、環境美化の意識が共有化されている。ホタル再生活動は結果的に今に続くコミュニティも活性化させた。
○…気さくで柔らかい物腰。観察会では自ら先頭に立ってガイドを務める。ホタル観賞を個人の楽しみとしないのは、宝のような水辺と緑地をそのまま後世に引継ぎたいと考えているからだ。岩戸川を10年の月日を費やしてようやく復活させた経験から、再生の困難さを知っている。だから自然を大切にする理解者を1人でも多くつくりたい。「そのきっかけがほたる。楽しみながら継続したい」
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