戦艦陸奥主砲の里帰り運動を展開する「陸奥の会」発起人のひとり 齋藤 隆さん 森崎在住 66歳
陸奥主砲、活きた展示に
○…戦艦陸奥主砲の里帰り運動を手掛ける「陸奥の会」に、先ごろ吉報が届いた。第一関門としていた「船の科学館」からの無償譲渡が正式決定。アイデアの発案者として、まずは安堵の表情を浮かべた。”オール横須賀”の布陣で挑む事業なだけに後には引けない。移設に向けた動きは次のステージに進む。高額な輸送費用の確保など現実的な課題が横たわるが、「運動の意義と本質を市民に理解してもらうことが第一義」と力強く語った。
○…自衛隊のトップである元統合幕僚長。退官OBで組織する水交会の会合で陸奥主砲が廃棄の危機にあることを聞かされた。都内に移設先を求めたが、陸上輸送は不可能。すぐに頭に浮かんだのが、建造の地である横須賀に海上ルートで運び込むことだった。明治維新後、日本が短時間で列強に肩を並べることができた理由─。それを支えた工業技術のキャッチアップ─。陸奥の主砲からそんな時代背景の一端が読み取れる。「スクラップにするのはもったいない」
○…横須賀では賛同の輪がすぐに広がり、会の発足につながった。3万筆の署名も数カ月で集まった。図らずも世は”艦船ブーム”の真っただ中。地元経済界も商機と捉え、陸奥をテーマにしたグルメメニューや、おみやげ品の開発などで運動を後押し。応援企画も予定されている。
○…全国各地で防衛に関する講演を請われ、今も月に5〜6回は檀上に立つ。肩書きと人脈を駆使すれば今回の移設費用の工面などは、そう難しいものではないかもしれない。でもそれをしないのは、市民運動や町おこしとしての盛り上がりにこそ意味があると理解しているから。「(陸奥主砲が)横須賀人のアイデンティティとなるか、単なる鉄の塊の展示となるか」運動の質と中身が試される。本番はこれからだ。
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