横須賀市自然・人文博物館学芸員として、Science誌に共同研究を発表した 内舩(うちふね)俊樹さん 鷹取在住 37歳
「昆虫の世界はおもしろい」
○…世界的に高い権威のある学術雑誌「サイエンス」。昆虫の進化に関する共同研究の成果が、今月7日発行の同誌に発表された。国内外の研究者が集まる国際研究プロジェクトで”博物館学芸員”として唯一の参加。数ある論文の中で、表紙の写真に採用されたのは、昆虫の系統を表したもの。「自分の名前が載っただけでなく、研究内容が注目されたことが嬉しい」と控えめに喜びを表す。
○…研究機関というと、イメージするのは大学の研究室。だが「自然観察や環境教育など、実践の研究もやってみたい」と選んだのが、博物館だった。就職して初めて来た横須賀。「三浦半島は国内の昆虫3万種のうち、半数以上が生息するおもしろい場所。ある意味カルチャーショックだった」と話す。幼少期に育った長野では、ハサミムシなどを捕まえて遊ぶ程度。自然と親しむには意外と遠く、「徒歩圏で山へも海にも行ける横須賀」の魅力に一気に引き寄せられた。
○…根っからの昆虫少年ではなかったが「幼稚園の卒園アルバムで『昆虫博士か宇宙飛行士に』と書いてあったみたいで」。中高時代はテニス青年。「勉強していて面白かったから」と生物学の分野に進学した。そこで再び出会った昆虫の世界。自身の予言は当たっていた。「昆虫を系統立てて研究していくスケールの大きさに魅かれた」。専門は、バッタやカマキリなどが属するガロアムシ目の進化。昆虫の謎を解き明かす研究は、まだまだ続く。
○…専門の研究以外に、カブトムシの移動調査やスズメバチの生態調査も継続して行うほか、企画展や展示も担当する。昨年開催した「タマムシ展」では”宝石虫”と題して、魅せる展示にもこだわった。今までにない手法の展示など、自身としても刺激的な体験だった。「自然や昆虫に興味を持つきっかけになれば」。博物館はその入口。研究者としてのフィールドは、さらに広がっている。
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