明日から行われる「紀の国わかやま国体」柔道団体で県代表チームの大将を務める 藍 健太郎さん 久里浜台在住 33歳
「県背負う」念願の舞台
○…国体選手に抜擢、それも大将と聞いた瞬間、喜びで顔がゆるんだ。普段は生真面目だが「思わずニヤッとしてしまった」―。引退の文字がちらつく33歳。高校時代にあと1勝のところで逃した舞台に初めて挑む。自身の念願叶い、「ありがたい」と15年間の感慨に浸るも「この歳で任せてもらうからには期待に応える」。100キロ超の大男から強い覚悟がにじむ。
○…柔道との出会いは偶然だった。高坂小2年の時、テレビで見た空手に心を揺さぶられた。「かっこいい」―。親に無理を言って道場に連れて行ってもらったが、行われていたのは柔道だった。間違えたと言えずに体験すると、相手を投げる動作が面白く、すぐにのめり込んだ。同級生の間ではソフトボールが大人気だったが、そちらには目もくれず、柔道と向き合い続けた。
○…横須賀学院高校に進学後も目立った成績はなかったが、2年時の大会が転機になった。団体戦で、大将の自分が引き分けさえすればチームは勝利だったが、まさかの敗戦。帰りの電車内、悔しさが募り「スイッチが入った」。居ても立ってもいられず、誰もいない車両で懸垂を繰り返した。それから週2回だった朝練を毎日に。弁当は昼前に食べ、昼休みを筋トレに充てた。練習量を大幅に増やし、無名だった選手は県準優勝を果たすまでに成長した。
○…幼い頃、100円を拾い交番に届けると、おまわりさんが別の100円を財布に入れてくれた。以来、「警察官」が憧れに。小学校の卒業文集に書いた夢を叶え、神奈川県警に入庁した。署員に柔道の指導をする役目を担うが、現在は競技に専念できる環境で鍛錬に励む。平日に練習、土日は遠征の日々に「妻への感謝は大きい」。4歳と1歳になる我が子の育児は任せっきりで、初めての運動会も国体と重なった。「家族には申し訳ないが、県を背負う使命がある」。妻の労に報いるためにも、最高の土産話を持ち帰るつもりだ。
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