19日・20日公演の舞台で在宅介護と家族の姿を描いた脚本家 大溝 好美さん 長瀬在住
テーマは介護。自分も直面
○…手掛ける舞台のテーマは何気ない地域の話題や埋もれた歴史だ。光を当てるはいつも市井の人の息づかい。20年間変わらないスタンスで座長を務める夫と劇団運営を続けてきた。今回の舞台は家族の在宅介護に着目した。「誰にも降りかかる問題であり、自分自身が直面している現実だから」。加速度を増す高齢化に谷戸を中心とした空き家の増加。横須賀が抱える地域の「今」も絡めて、介護すること、されることを問いかける。
○…88歳になる母親と同居している。「耳が不自由なため、会話は時に叫ぶようになる。声を荒げると心がささくれ立つ」。頭では分かっていても、心がついてこない。「すみませんね」と老いた母が申し訳なさげにつぶやいた一言にショックを受けたが、「美しい介護はできない」。多くの人も介護疲れやストレスに悩んでいるのではないか。舞台にもそうした要素を盛り込んだが、あえてコミカルに描いた。「観た人に共感やほっとした気持ちを与えたい」
○…元中学校教諭。部活動の顧問として演劇部を担当したのをきっかけに舞台活動にのめり込んだ。オリジナルの脚本づくりに熱中。これまで年に1本のペースで新作を投下してきた。ドブ板の靴磨き職人サイパン、花街・安浦に生きた娼婦の物語、地元の隠れた名物ポテチパンなど、横須賀人なら興味をそそられる内容ばかり。演劇に興味を持たない人が舞台に足を運ぶなど、数多ある市民劇団の中でも特異な存在感を発揮している。
○…日常から題材さがしにアンテナを張り巡らせている。すでに次回作の構想は頭に浮かんでいるそうだ。明治生まれで久里浜村出身の婦人運動家、山田わかの人生を掘り下げる。女郎としてアメリカに売られたどん底生活から抜け出し、女性開放運動に身を投じた生涯の舞台化に挑戦する。これからも作品を通じて伝えたいメッセージを届けていく。
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