全日本選抜還暦軟式野球大会で優勝した「横須賀シニア」の選手兼監督を務める 川田 茂さん 鴨居在住 67歳
”野球小僧”いつまでも
○…サイドスローから繰り出される制球力抜群の投球で凡打の山を築いた。4日間で6試合のハードな日程をものともせず、最終日に行われた準決勝で完投すると、30分後に開始された決勝では完封。フル回転したチームの大黒柱「監督兼エース」は胴上げ投手となった。「今までで最高の瞬間だった」。60年近い野球人生の中で幾度の勝利を経験してきたが、全国制覇の喜びはひとしおだ。
○…ベースで働いていた叔父が持ち帰ってきた白球とグローブ。それが野球との出会いだった。学生時代から投手一筋。横須賀工業高校では県ベスト4まで進み、甲子園にも近づいた。一方で「勉強は全くダメだった」。就職に頭を抱えていた時、手を差し伸べてくれたのが社会人野球に力を入れ始めていた東芝横須賀工場だった。現役時代には完全試合を達成、監督ではチームを初の全国大会に導くなど功績を残した。
○…定年後、野球を教えてくれた叔父に誘われたのが「横須賀シニア」。加入するとエースの地位を確立。昨年から監督も兼務して先頭に立つ。迎えた今年、県を勝ち上がり全国大会の初戦で当たったのは優勝経験を持つ新潟の強豪。お互い無得点で迎えた3回、エラーが続き、無死2、3塁のピンチでクリーンナップを迎えた。「今大会一番しびれた場面」を緩急織り交ぜた投球で無失点に。直後に味方が得点して、1対0で接戦をものにすると、勢いそのままに頂まで駆け上った。
○…平日週2回ある練習では150球近くの投げ込みを行うなど、球児顔負けの練習量が鉄腕の源。一方、家では孫の相手をしている時間が至福。「投げ合いなどをしていた長男がサッカーを始めてしまった」と残念そうに話すおじいちゃんの横顔は少し寂しそうだ。気がかりなのはもう一つ。「横須賀の高校が元気ない。甲子園に出場する姿を見たいね」。日本一を成し遂げた肩書きを引っ提げ、”後輩”たちに発破をかける。
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