鷹取山自然観察会の世話人代表で、2冊のガイド本を作成した 本多 久男さん 浜見台在住 69歳
学んで守る里山の将来
○…自宅のある浜見台から、国道16号線を挟んで鷹取山の丘陵が見渡せる。歩いても5分ほど。「今は野菊の時期。一番好きな花かな」と穏やかな表情。観察会を立ち上げて7年、「身近にある自然をもっと知ってもらいたい」と春夏・秋冬2冊のガイド本にまとめた。
○…横須賀で居を構えたのは80年代。開発が進む中で「ずいぶん山、坂が多いな」という印象だった。県の機関で環境教育に携わっていたが、専門は化学系。自然観察指導員の研修を受けたことを機に、自分の暮らす町の「里山」へと足を向けた。「その場所の専門家―『トコロジスト』という考え方があって。地域を広い視点で見渡せる人に」との思いが強くなっていた。色や形、生態の不思議・面白さだけでなく帰化植物の増加や希少種の減少。「歩く度に発見がある」。植物相の変化に触れ、保全という視点の必要性も感じた。まずは「写真で残そう」といち早くホームページを開設。約20年間で動植物合わせて、延べ700種近く。1種あたりの写真は数点。季節や種類・色別に分類し、撮影日時や和名・学名も掲載するなど、丁寧な造りに人柄が滲む。
○…観察を続ける仲間に呼びかけて会を発足。環境省のモニタリング地の1つとして植物・蝶などの調査を定期的に行う。月1回の自然観察会では、自作のイラストで説明することも。公園掲示板のポスター、手作りの樹木板には花の咲く時期や特徴も書いてある。興味が湧く”仕掛け”の数々。「小さなことばかりだけど積み重ねれば成果になる」。会報作りやホームページの更新など、家族からは「大変そう」と言われるも「好きなことができている」と表情が和らいだ。
○…ガイド本の初めに、「保全を考えるためには、人と自然との関わりや仕組みを理解することが大切」と記した。知る・学ぶから「守る」へ―。”自然観”を育む活動を通して、次世代に誇れる里山となることを願っている。
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