「劇弾倍プッシュ」の副代表で、福本つらんの名義で脚本・演出を手掛ける 鳥羽 理恵さん 東浦賀在住 39歳
全てをさらけ出せる
○…作品選びはふとしたタイミングがきっかけとなる。100年以上前、イギリス・ロンドンを震撼させた「切り裂きジャック」と呼ばれた正体不明の殺人鬼。DNA鑑定で先ごろ身元が特定されたとのニュースを目にし、舞台化を決めた。世界で最も有名な未解決事件は、多くの作家の創作意欲を刺激してきたが、自身も学生時代に興味を抱いたひとり。その真相に独自の解釈を加え、エンターテインメントに昇華させて届ける。
○…間近に迫る公演の宣伝パンフレットには「鳥羽一家」の表記。夫が団長を務める「劇弾倍プッシュ」は家族を主体としたユニットだ。主役の殺人鬼に中学1年生の長男をキャスティングしたのは「年恰好が近い」という理由だが、芝居の経験はすでに10年以上。今回は6歳の娘にも役を与えた。「(長男は)反抗期を迎えて扱いが難しい」と笑うが、家族の日常には演劇が自然に溶け込んでいる。
○…いくつもの劇団を掛け持ちしているが、「(自分)が演じたい作品を自由なスタンスで挑めるのがこの劇団。それを実現できる役者とスタッフを集めた」。他では主演を務めることもあるが、舞台全体を俯瞰で確認できる演出やストーリーを編む脚本のパートに興味の幅を広げている。中学校の演劇部を振り出しに四半世紀、舞台人としてのキャリアを積み上げている。
○…これまで生きてきた中で経験してきたこと、感じたことを舞台ですべてさらけ出すのが流儀だ。漁師だった実弟が仕事中の事故で命を落とした事件を題材に、家族の愛情を描いたブラックコメディを手掛けたこともある。「演劇の手法を用いて、見る人に何か感じるものを提示していきたい」。試行錯誤を繰り返しながら、自分が納得するものを追い求める。
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