五十路を過ぎた今なお、網を片手に山を駆け回る「虫捕り少年」がいる。市内西酒匂在住の小笠原清道さん(53)だ。
生まれも育ちも小田原。幼少期から毎日のように近所の山中に入り、カブトムシやクワガタ、蝶を採る少年時代を過ごした。大人になっても昆虫への熱は冷めることなく、妻や家族の理解もあって、夏になれば自宅周辺の山々にクワガタやカブトムシを採取しに出掛けている。
夜空を飛ぶ”銀色に光る物体”を発見すると、長年の経験で身に付けたという樹液をかぎ分ける嗅覚を頼りに一気に目当ての木へアプローチ。「虫に木の穴に逃げ込まれてしまうと終わり。オオクワガタを採るときはわざと自分の指を挟ませたこともあった」と笑うその表情は、まさに虫捕り少年そのものだ。
今年はかつてない出来事に興奮の日々。6月頃に採取したメスのノコギリクワガタが、11月になっても生存しているのだ。「特別な飼い方はせず、ゼリーを与えていただけ。せっかく頑張って生きてくれているのだから越冬させてやりたいな」。仕事から帰宅すると真っ先に様子を確認し、元気な姿に胸をなでおろす毎日だ。なお、静岡県磐田市の竜洋昆虫自然観察公園のスタッフによるとノコギリクワガタは12月頃までが寿命といわれている。
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