――ラグビーワールドカップもいよいよ来年です。
「城山陸上競技場が4月にリニューアルオープンしました。全面改修されたピッチの上で実際にラグビーの試合を観ることができたことも昨年の大きなトピックスでした。『サクラフィフティーン(女子日本代表)』が、アイルランドでのワールドカップ直前に、香港との国際試合を事実上のこけら落としで開催していただきました。もちろん私も観戦していましたが、非常に感慨深いものがありました。その後も県の高校生代表チームの合宿や関東大学リーグ戦など色々な試合を開催していただいています。また地元の小田原ラグビースクールの子どもたちが練習するということで『ラグビーのまち』という面でも定着してきた感が有ります。ロケーションが非常に良いということと、設備も大分良くなりましたので、利用されたチームからはとても使いやすいという評価をいただいております。
今後も公式戦の予定が入ってきていますので、市民の皆様にもこれまで以上にラグビーを観戦していただくチャンスが増えると思います。日本で開催される2019年のラグビーワールドカップに向けて、事前キャンプの誘致も含めて私たちも動いているところです」
合併見送りで行財政改革「シビアに」
――南足柄市と1年間をかけて「中心市のあり方に関する任意協議会」で、合併した場合のさまざまな検証をされてきました。まずはその総括をお願いします。
「任意協議会は、県西地域2市8町で中心市的役割を果たしてきた、またこれからも担っていかなければならない本市と南足柄市で共通認識のもと議論を始め、合併・中核市・広域連携の3つを議論してきました。中心市としての役割を果たすためにはしっかりとした行財政基盤が不可欠です。両市とも人口減少、高齢化で近い将来に財政状況の悪化が見込まれる中、合併が抜本的な対応策となり得るのかを見極めるために、協議会では両市合わせて3270本の事業をすべて突き合わせました。その結果、10年間で約150億円の行財政効果が見込めるという結論にたどり着いたわけです。なおかつ両市ともに多くの行政サービスについては水準を下げることなく、大体が現行通り、もしくは向上できるという見通しも得られました。客観的に見ても進めていくべきものではないかと私自身は総括しました」
――小田原市民の関心が低いという声もあります。
「本市では8回の市民説明会を開き、すべて私が説明して考えをしっかりと伝えたつもりです。ただ、どうしても小田原市は編入をする側、迎える側で、市名も変わりません。行政サービスもほとんど変わらないということで市民の皆さんの熱い論争ということにはなりにくかった。その後、市民の皆さんの意向を把握するため、アンケートを無作為抽出でやらせていただき、ほぼ3分の2が『賛同できる』という結果であったことから、市民の皆さんはおおむね合併について前向きに受け止めていただいたと思っています」
――南足柄市長が、合併見送りを表明しました。
「順調に次のステップに行ければ良かったのですが、12月に南足柄市長が『合併を見送る』という判断を示されたのは、極めて残念なことです。これは、非常に効果的な行財政基盤の確立の手段を失うということを意味します。小田原市としては、これからは行財政改革を相当程度ドラスティックに、さらに踏み込んだかたちでやらなければならないと、そういうシビアな問題意識に立っています。
今後、中心市のあり方については中核市移行の是非や広域連携のあり方検討も含め、小田原市として未来に向かって持続可能な都市の姿というものを見極める大事な年になると考えています」
――懸案のひとつだった旧片浦中学校の活用もついに決まりました。
「私が就任して間もなく廃校になってから、いろいろな案件が浮かんでは消えました。星槎国際高校などを運営する星槎グループに、スポーツ専攻の学生寮やトレーニングの場所、また通信教育のスクーリング会場としても使用していただける予定です。これまで地域の市民の皆さんが中学校施設で使用されてきた活動は、ほぼこれまで通り使っていただけることになっています。住民の皆様にもご心配を掛けないように進めていけると思います」
――郷土の偉人・二宮尊徳の映画製作がスタートしました。加藤市長も応援されているそうですね。
「昨年8月に栢山の尊徳記念館で、五十嵐匠監督、俳優の合田雅吏さん、榎木孝明さんらにより映画『地上の星―二宮金次郎伝』の製作発表が行われました。9月にはクランクインしました。順調にいけば、今年秋に小田原で予定されている第24回全国報徳サミットで公開したいというのが監督の思いです。この映画は絶対に成功していただきたい。映像というものは後世に長く残りますので、おそらく合田さん演じる二宮金次郎がこれから先の金次郎像になります。先ごろ、小田原の民間経営者の方たちを中心に市民応援団も立ち上がりました。報徳仕法の『積小為大』の精神、色々な方の『推譲』で実現するということになれば一番素晴らしいと思います。私たちも一生懸命応援しますので、市民の皆様にも協力していただきたいと思います」
――最後に今年1年の抱負をお聞かせください。
「今年は、私が市長就任して10年が経過する年です。これまで目指してきたもので実現できたものもあれば、まだまだ道半ばのものも多くあります。特に輪が広がるのに時間がかかる地域コミュニティの問題ですとか地域での協働の仕組みですとか、これは息の長い取り組みと粘り強い実践が必要です。そういった部分については引き続きこれまでお力添えをいただいている地域の皆様、市民活動をされている皆様方とともにしっかり歩んでいきたいと思います。これまで進めてきた『市民の力で未来を拓く希望のまち』という理想の姿に向けて、着実に歩んでいることは間違いないと思います。それをしっかりと固めていく、市長就任の10年目の年にしたいと考えております」 (了)
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