「歳をとると、どうしたって無理できなくなる。だから生活しやすいように」。3年前、平屋に建替えた南部芳隆さん(65)夫妻がこう話すには理由がある。2階建ての家は築30年が経過し、同じ間取りの隣家で暮らす両親の介護にも何かと不自由を感じた。階段の昇り降りや建具の高さ。トイレや廊下の幅一つとっても「車イスが通れるだけではダメ。そこから動作する余裕も考えないと」と妻の久代さん。何もない所ですらつまずく、立ち上がる動作も大変…。介護の実体験から暮らしやすさの重要性を痛感し、将来の生活スタイルを想像して、導きだした答えが平屋だった。
「定年後を目標に」県内の住宅展示場を隈なく巡り、10年以上かけて建替えを計画。完成した新しい我が家は「シンプルだけど、段差も温度差もなく1年中快適」と声を揃える。つながりを感じる動線は平屋ならではで「いつも気配を感じて心地良い」
資金面の不安もあったというが「ストレスを感じながら生活したくなかった」というお二人。3年が経過したが「ここが失敗だったという所はない」と話す。「今は定年後30年生きる時代だが、30年って結構長い。これから先楽しく生活するために、思い切って建替えてよかった」という言葉は妙に説得力があった。
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