街路樹【4】 生きた化石「メタセコイア」 化石から新種を発見 日本自然保護協会自然観察指導員 金子昇(富岡西在住)
「我が国の たちなほり来し 年々に あけぼのすぎの 木はのびにけり」――1987年の歌会始のお題「木」で昭和天皇が詠んだ和歌です。「あけぼのすぎ」はメタセコイアの和名です。
区内では富岡八幡公園のメタセコイアの街路樹が良く知られていますが、他の公園や緑地、庭木として見ることが容易です。メタセコイアは昭和初期頃までは、同じ仲間の化石(セコイア属)しか存在していませんでした。
1941年、三木茂氏が日本で発見したセコイア・ヤポニカの化石を調査した結果、世界各地で発見された従来のセコイア化石と違うことを発見し、新種「メタセコイア」と名付けました。「メタ」とは「後の」という意味です。
1943年、中国でメタセコイアと同属の生きている木が発見され、1946年に新種として世界に発表されました。メタセコイアのように生きている植物が発見される前に、化石分類群として認識された例は非常に珍しいことです。その数年後、中国で発見された樹木からの苗木100本が日本へ持ち込まれ、全国各地で植栽し、和名を「アケボノスギ」と名付けました。従って日本では、どんなに大きく成長したメタセコイアでも、樹齢70年は経ていないことになります。
メタセコイアはスギの仲間ですが落葉樹で、落葉する前の紅葉は大変美しい姿を見せてくれます。
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