反町駅前ふれあいサロンで歴史講座を企画している 石井 紀子さん 上反町在住 83歳
戦争体験を後生に
○…反町駅前サロンを拠点に、2011年から神奈川区内の歴史に焦点を当てたイベントを実施。このほど20回目を迎えた人気講座の仕掛け人だ。近所にあった慰霊塔がなくなったことを知り、「戦争を風化させてはいけない」と企画したのがきっかけ。当初は体験者が「横浜大空襲」や「戦後復興」などのテーマを語るスタイルだったが、現在は区いまむかしガイドの会の協力で「講話」と「散歩」の二部構成となっている。「シニアを中心に毎回30人以上の方が参加している」と喜ぶ。
○…和歌山県生まれ。検察官の父とともに全国各地の赴任先で暮らした。兄は学徒兵として戦死。伯父も中国地方総監の在任中に原爆投下で被爆死した。「(安倍総理の祖父である)岸信介が希望したポスト。伯父が断っていたら歴史は変わっていた」と神妙に語る。女学校2年時に、東京大空襲を経験。単身、山形県に疎開し勤労奉仕に励んだ。「こうした戦争体験が、人生のベースにあるのは間違いない」と断言する。
○…早稲田大では西洋史を研究、混声合唱団にも所属した。マスコミ志望で時事通信社に就職したが、配属された出版局の方向性に疑問を持ち1年で退職。司書の資格を取るため、慶応大も卒業した才女。「早慶戦があると、どっちを応援してよいか迷ってしまう」と笑う。日比谷図書館などで16年間働いた後、文献などをデータベース化する会社に引き抜かれた。先駆的な仕事にやりがいを感じ、定年まで勤務。その後、70歳まで実践女子短期大で教鞭をとった。
○…二十歳から区内に住む。老後は地域活動をライフワークにしようと、反町駅の地下化に伴う跡地利用の検討会に参加。サロンの立ち上げに尽力した。一人息子は、海外移住を計画中。「身寄りがないので、いずれは息子と一緒に暮らしたい」。たとえ海を渡っても、気持ちだけは仲間たちに引き継ぐつもりだ。
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