果樹品評会で優秀賞に輝くなど高品質のぶどう栽培に取り組む 平本 勝稔(かつとし)さん 羽沢町在住 43歳
甘い宝石は努力の結晶
○…入賞経験は何度もあるが、横浜のぶどう部門で上位3つを独占したのは初めて。そんな快挙にも「たまたま品評会の時期に良いものが獲れただけ。農家によって収穫の時期も違うからね」と慢心することはない。梅雨が長く、猛暑が続いている今夏は色づきが悪くなりやすいが、出来は上々。「色づき具合で味が乗っているかどうかも分かる。その点で選んでもらえたのかもしれない」
○…平本農園の3代目。幼少期から自然と手伝っていた。東京農業短大の農業科に進学したが「あまり真面目に授業は出ていなかったかな」と苦笑いで振り返る。卒業後一年間、二宮にあった農業試験場でノウハウを学び、実家に戻った。当時は野菜のみを栽培していたが、雨で土砂崩れしやすい傾斜地にあるキャベツ畑は相性が悪かった。「木なら根がはるから土が崩れにくい。そこでぶどう栽培に挑戦した」
○…約50aの広大な畑で「藤稔」や「高妻」など8品種を栽培し、1シーズンに7千房ものぶどうを収穫する。「お客さんと直接顔を合わせて話ができるのが良い」と農協やスーパーなどには卸さず、直売のみにこだわる。常連客のアイデアを栽培のヒントに取り入れることもあるという。ぶどう栽培を始めて18年。畑の状況などを含め審査される立毛共進会では農林水産大臣賞を受賞している実力を持つが、ぶどう栽培の本場・山梨県に毎年足を運ぶたび「(自分のぶどうは)向こうの足元にも及ばない。産地が違っても同じものを作らなければ」と未熟さを痛感する。
○…繁忙期には大学生と高校生の息子たちも助っ人に。「親がいいものを作れば、自然と手伝ってくれるだろう」とはにかむ。たまの休みにはドライブで息抜きすることもあるが、酒もほとんど飲まず、ぶどう一直線。「入賞したこと、山梨の師匠には言えない。いつか向こうのぶどうに引けをとらないものを作りたい」
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