神奈川区地域防災民間応援隊の代表として防災勉強会を行っている 山崎 庄司さん 六角橋在住 83歳
「好奇心」を活力に
○…登録メンバー約20人が専門知識を持ち寄り、区の歴史や地形、地政(神奈河学)などを研究している。東日本大震災をきっかけに前身団体を発足。勉強会では、先日の台風被害も危険視されていた。「災害は起こってから気付くもの。絶えず関心を持ち続けることが重要だ」と指摘。地域防災力の向上とともに、歴史の伝承も目的の一つ。戦争や震災体験者を招いた講話も実施する。
○…東神奈川駅西口のタクシー会社の長男として生まれた。「二本榎幼稚園までアメ車で送迎してもらった」「祖父は馬力屋として神奈川工業高校の建設に携わった」。数々の古い写真を指差しながら、うれしそうに語る。戦時中、「ガソリン統制」の影響を受け、一家で六角橋に居を移した。「当時は着物姿の人ばかり。カエルの鳴き声がするような田舎だった」
○…法政二中に入学するも、秋には「学徒勤労動員」として働き出した。工場で知り合った大学生が、自作したラジオから伝えられる戦況を教えてくれた。「横浜大空襲だけでなく、毎晩のように大小26回もの空襲があった」。その後、戦後の動乱期に、旧制度最後の卒業生として明治大学を卒業。「戦地帰りの同級生もいた。強烈な記憶として残っているので、何十年たっても話題は戦争のことばかり」と目を潤ませる。
○…就職した損保会社では、40歳を過ぎて営業マンに。知人の紹介でアナウンサーの養成講座に通い、対人の苦手意識を克服した。「人生の分岐点。これで前向きになれた」。社交ダンス歴60年。定年後は区自治会町内会交通部で啓蒙活動に尽力し、このほど県知事表彰を受賞。歌のレッスン経験もあり、地区センターでボイストレーニングの講師を務める。スポーツジムでは、80代で唯一エアロビに参加する有名人だ。「戦争に比べれば、何があっても怖くない。元気の源は好奇心だね」。まだまだ情熱は衰えない。
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