川崎市は、環境や防災などに配慮した先進的な大規模開発に対し、容積率を緩和して高層化できるガイドライン案を発表した。低炭素社会の実現をめざす狙いがあるが、安易な容積率緩和につながるという指摘もある。市は今月20日まで市民の意見を受け付けるパブリックコメントを実施している。
市が公表したのは「低炭素都市づくり・都市の成長への誘導ガイドライン案」。都市計画法に定める「高度利用地区」と「再開発等促進区を定める地区計画」の2制度を活用する。対象区域は「都市再生緊急整備地域」と「2号再開発促進地区」。大規模開発が進む武蔵小杉周辺や川崎駅周辺、新川崎駅周辺、川崎臨海部などで指定されている。
緩和条件が拡大
緩和する(割増)容積率について従来の制度では、整備で生まれる空地のみを評価して設定。新たなガイドラインに盛り込む容積率の特例には「環境配慮」「都市機能」「都市防災」「都市空間」の4項目の評価視点を追加。例えば、太陽光発電の導入や帰宅困難者の受け入れスペースの確保、超高齢社会に対応した福祉施設の整備、一般利用が可能な屋上広場の整備といったケースにまで適用を広げた。
評価は専門知識を有する学識者で構成される評価委員会が審査する。4段階で評価し、最も評価が低い場合は従来の割増容積率の0・8倍になるが、最も高い評価の場合は1・6倍になる。市によると、環境面を柱とする容積率の特例制度の運用基準は全国の都市でも例がないという。
問題点の指摘も
一方、このガイドライン案を懸念する見方もある。市民団体「まちづくり・環境運動川崎市民連絡会」の小磯盟四郎事務局長は「日本の建築・都市法制は緩和に次ぐ緩和の歴史。まちづくりが時の経済政策によって進められていることが問題。高層化すれば低炭素ではなく、高炭素社会につながるだけだ」と指摘する。
市まちづくり局の担当者は「高度利用すべき地区だけに限定している。コンパクトなまちづくりを進めるための機能を導入するための高度化であり、環境配慮への誘導になる」と話している。ガイドライン案は川崎市のホームページや各区役所の市政資料コーナーなどで閲覧できる。意見は郵送やFAX、メールの所定の方法を使って提出する。
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