大和市と綾瀬市にまたがる厚木基地の周辺住民らが、騒音被害の解消を求めて国に飛行差し止めと損害賠償を訴えた「第4次厚木基地騒音訴訟」の上告審。その判決が12月8日、最高裁判所で出された。2審で東京高裁が命じた自衛隊機の夜間早朝の飛行差し止めや、将来分として2016年末まで認めた損害賠償を破棄するなど、住民側の逆転敗訴が確定した。
基地周辺などの約7千人が原告となり、07年12月に提訴した第4次騒音訴訟。今回は民事訴訟に加え、行政訴訟でも提訴を行った。
この日の最高裁判決では、飛行差し止めに関して、自衛隊機の運航の公共性や公益性、住民の騒音被害、国による被害軽減措置などを総合的に判断。住民の被害を「軽視できない」と認める一方、「自衛隊機の厚木基地における運行が、日本の平和や安全保護の観点から極めて重要」との判断を示した。また、午後10時から午前6時までの飛行訓練を自主規制していることや、これまで1兆円を超える予算を住宅への防音工事などに使っている状況などを踏まえ、「自衛隊機の運航が妥当性を欠くとは言えず、裁量権の逸脱に当たらない」と結論付けた。
今回の判決について、大木哲大和市長は、「国は大和市民をはじめ、基地周辺住民の大きな負担の上に我が国の安全保障が成り立っていることを踏まえ、一日でも早く空母艦載機の移駐を完了させるなど、航空機騒音被害の解消に向け全力で取り組んでほしい」とコメント。
また、厚木基地爆音防止期成同盟の大波修二委員長は「憤りを感じている。2審の東京高裁では、裁判官が現場に足を運び判決を出したが、最高裁の裁判官は住民被害を実感として把握していない。だから、住民よりも国に近い立場に立った判決になったのだろう。今後は、第5次訴訟の準備を進める」と話した。
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