酒匂川水系の環境を考える会で会長を務める 陣野 一郎さん 市内早川在住 74歳
のんびり自然にまかせて
○…「小田原メダカなんて本当にいるの?」。そんな疑問をきっかけに、生物が好きな仲間らと結成した「酒匂川水系の環境を考える会」。小田原メダカの保護活動や河川の生態系を調査するうちに行きついた答えは、「川・山・海と線引きせず、自然環境を総合的に捉える必要性」だった。あれから17年、各分野の専門家を招いたシンポジウムの開催を毎年続けている。
○…城南中学校では生物部に入部。動機は昆虫が好きだったことだが、顧問の先生の影響を受けて興味を抱いたのはシダ。地味な印象のある植物だが、「種類が豊富で葉の形状もさまざま」であることに一気に引きこまれた。その後、小田原高校時代もシダの研究に没頭。「紀伊半島で頻繁に観察されるタキミシダを湯河原で発見したのはうれしかったな」。社会人になっても熱は冷めやらず、休みになれば各地の山へ出かけたが、目指すのは頂上ではなくシダ。「地図を頼りに沢沿いの獣道ばかり歩いた。だから、本当の行楽地って知らないんだよ」
○…幼少時代から、自宅近くを流れる早川が遊び場。父と頻繁にアユ釣りに出かけたことが懐かしい。「大雨が降った後は、比較的早く濁りが回復する早川に、酒匂川のアユが泳いでくる。そんな時はチャンス。向こうの方がサイズが大きいから、その時を狙ったよ」と得意げだ。
○…定年退職後、趣味で始めた野菜作り。すると、のどかな春を彩るタンポポやモンシロチョウも、「生育に害を与える厄介な存在へと変わってしまった」と苦笑い。自然を守ることは大事と理解していても、立場や状況によって一筋縄にはいかない。それを身をもって実感している。開催まで目前に迫った自然環境シンポジウムの趣旨は、「話題提供」。まずは専門家らの話に耳を傾け、「自然の魅力を知ってもらうことで、何かのきっかけになれば良いかなあ」。のんびり、自然体で活動に励んでいる。
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