介護職のやりがいや意義を周知しようと、県が従事者や事業所を表彰する「かながわ感動大賞」。社会福祉法人創生会あだちホーム=若葉台=の職員、伊藤和幸さんが千回にわたり一人の被介護者を担当した訪問入浴のエピソードが、今年度の最優秀賞に選ばれた。
同大賞は介護保険事業所や老人福祉施設からサービスを受けた高齢者やその家族に、介護に関するエピソードを募集。特に感動的なエピソードに対し、応募者と対象になった介護従事者や事業所、施設を表彰している。2回目の今年、応募は29作品だった。
最優秀賞を獲得したエピソードは「入浴回数1000回の偉業に感謝!」で、応募したのは被介護者である小佐野正男さんの娘、棚井宴子(うたげ)さん。「感謝の気持ちを伝えたい」と応募し、対象となった介護従事者が伊藤さんだ。
2001年5月に小佐野さんが初めて訪問入浴を利用して以来、週に2回利用し続け、12年8月に1000回を迎えた。当初は担当者固定のシステムではなかったが、棚井さんら家族の希望により、約1年後から伊藤さんが専属担当に。それから10年以上が経過し、1100回を超えた現在も記録更新中だ。
在宅看護の高齢者などを、自宅でお風呂に入れるのが訪問入浴サービス。オペレーターと看護師、ヘルパーが3人1組となって作業にあたる。被介護者は要介護度が高い場合が多く、小佐野さんも、要介護状態5と全介助が必要。オペレーターを務める伊藤さんは、専用の浴槽の搬入や被介護者を抱きかかえての移動など力仕事も多い。ただ、入浴の際は、お湯の温度調節や目に水が入らないようにするなど、細心の注意を払って丁寧に作業を進めていくという。
介護施設の代表でもある棚井さんは「介護は辞めていく人も多い世界で、10年も担当者が代わらないのはまれ」と話し、「長く担当しているから、和さん(伊藤さん)は少しの異変でも察知してくれるし、いい雰囲気で楽しそうにやってくれる」と絶賛する。
しかし、伊藤さんは「3人1組なのに、自分だけが賞をもらうのは心苦しい部分もある」と謙虚だ。さらに、「宴子さん(棚井さん)やご家族に気持ちよく仕事をさせていただいて、本当に感謝しかない」と話す。だが、「介護の実習生が在宅にはあまり目を向けてくれない。介護の中でも特に『大変そう』というイメージが先行している。看護師やヘルパーにも在宅を考えてほしい」と胸の内を明かした。
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