部品製造や修理を手がける航空機専業メーカー、日本飛行機(金沢区)の技士として、大型旅客機や自衛隊機などの生産に携わり、黄綬褒章に輝いた遠藤秀正さん(65)=小高町。約50年の板金技術で、航空機のエンジンを包む流線形のカバーを世に送り続けてきた。「金属の特性を考え、さまざまな問題を改善していく。手仕事じゃないとできない」と遠藤さんは話す。
出身は福島県。自衛隊の飛行機を間近で見て、憧れを抱いた。同社の事業所内にある全寮制の工業高校に15歳で身を投じ、後に正社員に。20歳のとき、先輩が成形に失敗してボツにした部品を引き受け、ひずみを取り除いて完成させたことがある。「みんなに頼られて、自信につながった」。やがて難しい仕事を任されるようになり、夜も惜しんでアイデアを練る日々を重ねた。
4年前には、厚労省から卓越技能者(現代の名工)として表彰を受けた遠藤さん。1級技能士だけでなく、指導員の資格も持つ。今まで30人以上の教え子が技能士を取得したという。次世代育成を掲げ、定年退職後、今は週3日パート勤務を続ける。40代半ばで、ストレスで食事もできないほど体調を崩す経験をして、職人気質で完璧主義だった性格が「少し丸くなった」と妻の澄恵さん(63)。「適度ないい加減さを取り入れて、アイデアが生まれるようになった」とも。後進育成の喜びを感じながら、現役生活はまだ続きそうだ。
―了
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