単独インタビュー 八重樫、あす「大一番」へ 無敗挑戦者と激突
旭区在住のプロボクサーにして、WBC世界フライ級チャンピオンの八重樫東(やえがしあきら)選手(31)。昨年4月に王座獲得以来、これまで3度の防衛に成功している。
その八重樫選手が明日9月5日、元世界2階級王者のローマン・ゴンサレス選手(27)=ニカラグア=と対戦。4度目の防衛戦に臨む(フジテレビで午後9時30分〜放送予定)。ゴンサレス選手は39戦39勝(33KO)、「軽量級最強」と言われる相手との対戦を前に、心境を聞いた(8月20日取材)。
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――現在のコンディションはいかがですか。
「怪我も病気もないので、コンディションは順調といえば順調ですね。ただ、その中でも調子の良い、悪いはある。それは当日リングに上がってみないとわからない。万全の状態でリングに上がれるように調整していきたいなと思う」。
――戦術などは既に決まっていますか。
「戦術的なものは2、3パターン用意しています。ただ、戦術を『これだ』って決めていくと、上手く行かなかったときにパニックになってしまうので危険。あとはリングに上がって自分の感覚を信じて、何を選択するか。ゴングが鳴って1ラウンドが始まったら、『風』を感じて戦おうかと思っています」
――今年4月の防衛後、「次の勝率はまだ1割から2割」と言っていましたが。
「あの時よりかは多少上がって、3割くらい。ただ、3割あれば大概のことはひっくり返りますよ。降水確率30%でも雨は降るでしょう。そういうことです」
試合までは非日常
――以前、試合の日以降のことは考えないと言っていましたが。
「もちろんそうですね。どうなっているかなんて、考えられないんですよね。そんなの試合してみなければわからないので」
――実際に予定は入っていないのですか。
「入ってないし、入れないようにしています。今は試合の日が『世界の終わり』くらいのつもりで。不思議ですよね。9月5日=試合の日だけが非日常なんですよね。非日常が過ぎるまでは日常がない。ただ5日が過ぎたら9月6日は日常なんですよ。過ぎちゃったらなんてことはなくなっちゃうんですけど。精神的におかしくなっちゃうんですかね。命に係わる、何があるかわかんないですから」
プロとして魅せる
――応援してくれる方へのメッセージ、試合への意気込みをお願いします。
「ボクシングのチケットって高いじゃないですか(今回は5万円〜6千円)。そこまでお金を出して見に来てくれるお客さんがいる。変な話プロなので、そういう人たちに勝っても負けても『面白かったね』と言ってもらえるような試合がしたいです」
――勝っても負けてもですか。
「そうですね。僕は別に自分の戦績がパーフェクト(無敗)ではないので、勝っても負けてもいいんですよ。もちろん、良い試合をした上で勝ち残っていかないとビジネスにならないという面はありますけど。今回に限れば相手が強いから負けてもいいんですよ。『あー、やっぱりね』で終わる話で。勝ったら『うわー、すごいね』で、何のデメリットもない。そういう試合の方が、負けに対する恐怖心がない分、開き直っていける。そっちの方が僕には向いているんですよね」
――そうすると常にチャレンジになりませんか。
「そのほうが面白いんじゃないですか。もちろん、ビジネスとして何度も何度も防衛を重ねて、お金をたくさん稼ぐのもいいと思うんですよ。でも僕はタイプから言ってそういうボクサーではない。誰かが八重樫東というボクサーを必要としてくれるのであれば、僕はまだまだ戦っていける。みんながわくわくするようなカードで『八重樫はいつも面白い試合をしてくれる』というのが大前提です。それが今回はロマゴンという最強の選手。楽しみじゃないですか」
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自然体で飾らない世界チャンピオン、八重樫東。日本のみならず、世界からも注目される一戦のリングに、いよいよ明日上がる。
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