子どもの命を預ける【1】 求めるのは非常時の対応
ベビーシッターに預けた男児が遺体で発見された痛ましい事件――。これを受け、厚生労働省も預け先の情報収集や事前面会の推奨など10項目を盛り込んだベビーシッター利用時の留意点を公表して対策に乗り出している。一方、利用側の判断に委ねられる部分が大きいのも事実。横浜市で受けられる乳幼児や小学生の一時預かりの現状を追った。
横浜市が子育て支援策の一環で2000年から実施している「横浜子育てサポートシステム」。子どもを預けたい「利用会員」、預かる「提供会員」が会員登録し、「地区リーダー」などが双方の調整役を担う有償サービスで、12年度には約4万件の利用があった。
一方、病児・病後児、早朝・夜間等の緊急預かり強化事業を行っている藤沢市などの自治体もあるが、横浜市ではこれまで導入されていない。
そんななか、サービス利用者からは、不規則な時間帯や急な要望への対応を求める声も聞かれる。
市外で保育士として働く市内在住のAさん。夫は毎朝6時に仕事で家を出るが、自身も早番担当時には小学3年生と幼稚園年長の子どもを残して出勤せざるをえないことがある。放課後は学童や延長保育を活用しているものの、急な残業で迎えの時間に間に合わないことも少なくない。
また、シフト勤務のスケジュールは週ごとの発表で先々の予定の把握が難しく、「仕事柄、サービスが必要となるのはいつもギリギリのタイミング」。
現在は、福祉クラブ生活協同組合が実施している家事介護サービスを利用しており、「お迎え時間の30分前の急な依頼に対応してもらえるのがありがたい。先方の予定で無理な場合も、代理を探すなど親身に協力してもらえる」。
一方、「預け先の身元がわかっていても、他人に預けることに不安がないわけではない」。月数万円に及ぶこともあるサービス利用料の負担も大きいという。だが、「自分の意志で働いている以上仕方ない。隣近所にお願いできればそれが理想だが、遠慮がある」と話していた。 ――つづく
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