旭区・瀬谷区・泉区など、横浜市西部を貫く相鉄線。本紙では今号から、地域の生活とかかわりの深い相鉄グループの連載を企画。その第1回目として、相鉄ホールディングス株式会社・滝澤秀之代表取締役社長にインタビューを実施した。(聞き手/本紙・渡部賢)
地域に根差し100年
―2010年度から19年度の創立100周年に向けて取り組んできた成長戦略のロードマップ「Vision100」について教えてください
「『相鉄・JR』『相鉄・東急』直通線を前提に、継続中のも含め、沿線再開発の6大プロジェクトを推進してきました。東京方面に乗り入れることで、乗り入れ先から若い世代を呼び込むことや沿線に住むアクティブシニアに駅周辺に住み替えていただくことなどによる沿線の活性化と、ホテル事業など事業領域の拡大というのが2つの大きな目的です。国内の人口が減少する中ではありますが、我々の沿線は同業他社に比べて短い30数Kmしかないので、そういう意味では”かゆい所に手が届く沿線”にしたいです」
―コロナ後を見据えた取り組みはいかがですか
「コロナの影響を受けましたが、Vision100は定量的には目標をクリアすることができました。その後、コロナ禍の中でリモートで会議が進むなど”移動しない時間”を有効に活用できる社会になってきています。鉄道・バス事業にとっては、移動に対する需要がコロナによって奪われたのかなと感じています。観光需要とは違い、ビジネス需要はどのくらいかわからないが一定数戻ってこないという覚悟で事業を進めていかなければならないというのが足元の状況です。また、ホテル事業では、ビジネスユーザーの戻りは難しいが、観光ユーザーは時間は掛かるかもしれないが一定数戻ると思っています。我々も流れの中で、どう生きていくか今後も模索していきます」
直通線で利便性向上
―「相鉄・JR直通線」開業から約1年半での振り返りや手ごたえは
「需要予測の大体40%ほどの利用者にとどまっています。予測では、他社線からの乗り換えがもう少し多いと思っていました。例えば小田急線で新宿に出て大崎方面に乗り換えるお客様の一定数は、直通線を利用すると思っていましたが、そういう転移は進んでいない状況です。コロナの影響もあると思いますが、今後、どのように上げていくのかが今の課題。60%の原因が何なのか、データの整理が必要です。ダイヤや運賃のことになると、JRさんとの協議事項になりますね。そのほか、現在、羽沢横浜国大駅や西谷駅周辺の開発も計画されています」
―22年度下期開業の「相鉄・東急直通線」の進捗状況などは
「工事は予定通り進んでいると聞いています。ネットワークの充実と時間の短縮が最大のメリット。新横浜に駅ができることで、新幹線で関西方面との接続も格段に上がります。JR直通線は海老名方面だけですが、東急直通線は湘南台方面へも直通するように計画しています。少しでもいずみ野線沿線のサービス向上になれば。東急直通線の定期券をお持ちなら、オプションで週末だけは横浜駅も利用できるようになる『2経路定期券』の検討も行っています。また、東横線方面、目黒線方面など行先が増えるので、駅の案内表示板のLEDを多色化して種別を表示することも考えています」
「選ばれる沿線」の創造
―旭区・瀬谷区・泉区など、横浜郊外エリアの位置づけは
「横浜駅が『海』だとすると、その沿線である旭・瀬谷・泉は『里山』だと思っています。我々にとってみれば、両方とも健全な成長・発展することが大事。郊外部は高齢化が先行しているエリアですが、どう次の世代の街としてつないでいくのか。これが実現できないと横浜駅西口の成長や沿線の成長はないと思っています。旭・瀬谷・泉には11駅あります。一駅一駅が大事だと思っています。また、このエリアの相鉄のバス便は40系統ぐらい走っています。このエリアをどうしたら若い世代に住んでいただけるエリアにしていけるかが大きなテーマ。『相鉄がいいな』と思ってもらえるお客様をどう作っていくかが大事ですね。公共交通機関を持っているということは、まちづくりをしている他の会社と大きく違う点。鉄道・バスの利便性を高め、物理的な時間や距離を縮めることで、東京に住まないといけない理由をなくすことができます。まちづくりとの一体的な開発ができるのが我々の強みですので、脈々と取り組んでいきます」
※今後、同企画では旭区・瀬谷区・泉区での相鉄線沿線の取り組みなどを紹介していく予定。
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