震災の教訓 共助へ生かせ 臨海部事業所が対策検討会
金沢産業振興センター(福浦)で7月26日・27日、臨海部産業地区の自衛消防組織に向けた震災対策検討会が開催された。当日は、事前アンケートをもとに、東日本大震災発生時の状況を検証。帰宅困難者対応や津波への対策など、地震災害への課題が浮き彫りになった。参加者らは、緊急時に事業所同士が助け合う「共助」の意識を改めて共有した。
鳥浜から福浦にかけての臨海部産業地区には、各事業所が加入する自衛消防組織がある。事前アンケートは金沢消防署が6月8日から20日にかけて実施。組織に加入する事業所のうち、390件から回答があった。検討会には、同署や横浜市消防局の職員、各事業所の従業員らが集まった。
帰宅困難700人以上
震災当日、臨海部は震度5弱相当の揺れに見舞われたものの、建物等に被害があったのは29%にとどまった。しかし、交通機関がマヒしたため、122事業所736人が帰宅困難に。事業所や事業主の自宅に宿泊するケースも多かったという。およそ30人が事業所に宿泊したという飲料会社は、「スーパーに行っても品物がなく、備蓄していた水と乾パンで過ごした」と当日を振り返った。これに対し同署予防課は、「家族への安否確認体制や、宿泊への準備などが必要」だとして、事業所単位での体制整備を促した。
津波への不安も
また、66%の事業所が「地震による津波は予想していなかった」と回答。避難場所の指定など、津波への対策をしていたのは5%にとどまった。今後、避難訓練などの対策が「必要」とした事業所は88%に上り、震災を受けて津波への関心が高まったことがわかった。検討会では、「近隣に高い建物がない。津波の際に逃げ場が見つからず不安」と訴える参加者も。出席した市消防局職員は「行政でも避難場所の指定を急ぐが、事業所同士で連携し緊急時に備えて」と応じた。
一方、市消防局では最大3mの津波を考慮した「津波からの避難に関するガイドライン」を策定中。市消防局職員は、「8月中には詳細を冊子にして配布する予定。避難訓練に役立ててほしい」と述べた。
会の終わりには、金沢消防署の牧島敬行署長があいさつ。「災害時は、自治体や消防からの『公助』が行き届きにくいため、消防団や自衛消防組織での『共助』が必要。今後も協力を」と締めくくった。
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