横浜市と東京大学 人工知能でCO2削減 初の同時実験 区内5施設で
人工知能(AI)を使った省エネルギー実証実験が、8月末から金沢区内5施設で始まった。複数の施設で同時に実験を行うのは今回が初めて。設備の効率的な運転により、二酸化炭素(CO2)削減につながるとされ、来年3月まで実験が続けられる。
この実験は、横浜市が東京大学生産技術研究所の協力を得て2008年から行っている共同研究によるもの。人工知能(以下、AI)を使って、空調(冷暖房)や給湯機器の効率的な運転を行い、電気・ガス・水道の使用量のカット、さらにはCO2削減につなげることが目的だ。実験はこれまでも、泉区・磯子区の総合庁舎や、富岡並木地区センターなどで行われてきた。
今回は、金沢区をモデル地区とする「横浜グリーンバレー構想」の一環として実施。同地区センターに加え、区総合庁舎、金沢スポーツセンター、六浦地区センター、六浦地域ケアプラザの5ヵ所で実験が行われている。
データを学習し効率を「考える」
実験の仕組みはこうだ。空調を例に取ると、まず、機器が使用している電力量・電圧・電流などをリアルタイムに計測する。同時に、室内のセンサーで感知された温度・湿度・CO2のデータと照らし合わせ、空調の効きめをAIが判断。効率の良い運転方法を自ら「考え」、自動的に電気の使い方を変える。AIは、データを次々に蓄積・学習し、その時々の気象条件に合った運転を予測・管理していくという。
09年に実験が行われた泉区総合庁舎では、光熱水費が年間マイナス300万円、CO2排出量が年間マイナス66トンと、それぞれ6%削減できた。
今回、大規模施設での実用化を視野に、5施設を1つの集合施設に見立ててデータを取る。すべての施設を合わせた電力使用量が設定値を超えると、警報メール配信や機器の自動停止で節電を図る実験もある。事業を担当する横浜市建築局保全推進課は、「まだまだ始まったばかりの研究。道のりは長いが、少しずつでも成果が上がっていけば」と期待を込めている。
折しも”節電の夏”となった今年、次世代の省エネ策が、ここ金沢で着実に歩みを進めている。
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