横浜市健康福祉局の統計によると、金沢区の生活保護受給者数(2012年3月末)は1508人で、初めて1500人を突破した。ここ10年で受給者数は2倍以上に増加。受給抑制を求める声の一方、本来保護を受けるべき人が受けられていないという指摘もある。
人口に対する受給者の割合は0・72%と、市全体の1・34%に比べ低水準にある金沢区。しかし、01年度には666人(人口比0・32%)だった受給者数は、年を追うごとに増加の一途をたどっている=図=。
受給者は高齢者・障害者・母子・傷病者・その他に分類されるが、多くを占めるのは高齢者。11年度末の区内高齢者(65歳以上)は4万5千人あまり(21・9%)で、10年前の3万人あまり(14・8%)から大幅に増えた。進む高齢化も原因の一つと考えられる。
近年顕著になっているのが、失業者などから成る「その他」の増加だ。金沢区では、10年前に10・8%だったその割合が、現在は19・5%になっている。金沢区保護課は、「08年の『リーマンショック』以降、職を失った人が申請に訪れるケースが増えた。工業従事者数が多い金沢区内で、不況の影響が強く出たのではないか」と分析する。
申請できないケースも
市全体でも受給者数は増え続けており、本年度の生活援護費予算は前年度比1・9%増の1283億円あまり。苦しい市財政を圧迫していることも事実だ。
「不正受給」に関心が集まる一方で、受給すべき人が受給できない「漏給(ろうきゅう)」を問題視する声もある。元地方公務員の行政書士・瀧井雅史さん=区内在住=は、「本当に困窮していても、大きな持病がなく、働く能力があると判断されれば申請を断られる場合がある」と打ち明ける。
横浜市は、まず窓口で相談を受け付け、年金など他の制度を活用できるか、働く能力の有無などを判断し、申請書を渡している。瀧井さんは「行政は保護費を抑制するため、審査を厳しくしているのでは。生活保護は本来『申請主義』なので、誰でも申請できるようにすべき」と話した。
一方の区保護課は「区民の自立を支援することが大前提。そのために、扶助を含めたあらゆる手段を講じていく」と強調。そのうえで、「保護を必要とする人が申請を躊躇(ちゅうちょ)する状況を作ってはならない。困ったらとにかく相談に来てほしい」と呼びかけている。
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