関学六浦高校生 震災「風化させない」 演奏や清掃で復興支援
関東学院六浦高等学校の生徒が8月5日から5日間、東日本大震災で被災した岩手県でボランティアを行った。3回目となる取り組みに、有志21人が参加。吹奏楽の演奏や農作業、水道管埋設のための側溝作りを行った。
昨年8月、サッカー部が岩手県で瓦礫(がれき)撤去や清掃を行ったのを機に始まった、復興支援の取り組み。今回は「被害を受けた人のために演奏をしたい」と名乗り出た吹奏学部員6人と、有志15人が被災地を訪れ、2班体制で活動した。
吹奏楽部は釜石市や大槌町の4つの仮設住宅と、仮設商店街「福幸きらり商店街」で「川の流れのように」や「上を向いて歩こう」など馴染みのある曲を演奏。自身も演奏に加わった顧問の深野基教諭(25)は「涙を流してくれる人もいた。自分にできることをボランティアとして生かせたことで、一人一人の長所の大切さを感じてくれたのでは」と話した。アンコールの拍手が鳴り止まなかった会場もあったという。
もう一方の班は、農耕地再生のための農作業や、陸前高田市の「うごく七夕まつり」の手伝い、宅地跡の清掃を行った。また幅・深さ60cmの側溝を掘り、冬場の水道管凍結に備えた。同行したサッカー部顧問の中田努教諭(45)は「辛い作業にも一切文句はなかった。それだけ目的意識を持ったメンバーが集まったということ」と話した。
変わっていくニーズ
東日本大震災発生から約1年半。被災地のニーズは日々変わっている。同校ではこれまでに卒業生を含む38人が参加。復旧作業に加え、被災した人々の話相手になる「お茶っこ」や、地元のイベントの手伝いをするなど、被災地の人々との交流を通して支援を行ってきた。
「作業は進んでも現地の人の心は癒されていないと感じた」と話すのは、3度目の参加となる吹奏楽部の野々垣美咲さん(3年)。4回訪れているサッカー部の澤井陽平さん(3年)も「町の印象は前回と変わっていた」という。瓦礫撤去や清掃など、ハード面の復旧は進んでいても復興には程遠いと訴える。その上で「被災地に行ける人は限られている。風化させないためにも積極的に伝えていきたい」と話した。「生徒は、一見片付いたように見えて一歩入れば瓦礫の山という現実も見てきた」と中田教諭。「風化させたくない」「関わっていきたい」という思いを多く耳にしたという。中田教諭は「被災地が被災地と呼ばれなくなる日まで続けたい」とし、支援を継続する意向だ。
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