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公開日:2013.03.28

金沢区
自殺者、30人下回る
ゲートキーパー養成に課題も

 内閣府と警察庁は3月14日、2012年の全国の自殺者数が2万7858人だったと発表した。15年ぶりに3万人を下回る中で、金沢区でも26人と、遡って調査できる98年以来、初めて20人台まで減少したことがわかった。

 内閣府による居住地の市区町村別集計では、12年の横浜市の自殺者数は639人。747人だった昨年より108人減少したが未だ交通事故の年間死亡者数の約9倍(66人)に上る。

 金沢区の自殺者数は、この14年間で初めて20人台に減少し26人だった。区は自殺者を減らすため12年の4月から、7つの課が参加する自殺対策プロジェクトを開始。「ゲートキーパー」感覚をもつ区民の養成に重点を置き、昨年は711人に研修を行った。ゲートキーパーは悩みを抱える人に声をかけ、必要な支援につなげる人のことで、特別な資格はなく誰もがなり得る。自殺を考える人へのメンタルのケア、応急処置などの専門知識が必要とされる。

 区は内閣府の制作した「ゲートキーパー手帳」やDVDに従い、悩みを批判せずに聴くこと、自殺を考える人の弱さや性格の問題ではないと伝えることなどゲートキーパーに必要な心得を講習。相談機関へつなげるよう、心や健康、勤労や経済などの相談先をまとめた一覧表も配布した。

 今後は自殺の実態把握や地域内のネットワーク構築など課題の解決に取り組む予定だ。今年中に薬剤師会がゲートキーパー感覚を持つ機関として動き出す。薬処方時に異変を感じた際に相談機関につなげるという。また、「区民20万人がゲートキーパー」を目標に、民間団体が集まる機会を利用して研修会を開く考えだ。

「地域のネットワークを」

 しかし、命に関わる役割だけに、感覚や「ついで」の講習で正しい知識を持つゲートキーパーとして機能するのかという疑問の声も挙がっている。

 横浜市立大学医学群健康増進科学教授で国際自殺予防学会日本代表の河西千秋さんは「複数回シリーズ化して研修会を行っている区もある。内容を充実させることが必要」と指摘する。また「一年間の対策で自殺が減少したと判断するのは早計。自殺対策以前に重要なのは、心の健康対策。行政や健康・福祉に関わる専門職、そしてゲートキーパーなどのネットワークが必要」と話す。その上で自殺の場所、理由などの詳しい実態を把握し、地域に合わせた自殺対策を実施すべきだという。「自殺のほとんどは精神的な病気の影響。見て見ぬふりをせず声をかけてほしい」と話していた。

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