横浜・八景島シーパラダイスで4月から、災害時に船から陸に電力を供給するシステムの導入試験が始まった。横浜八景島と東京海洋大学、横浜市の「産学官」が連携する「海を利用した省エネと災害対策の取り組み」の一つ。システム導入は日本初となる。
このシステムは、災害で電力供給が途絶えた際、船に備え付けた発電機から、陸上の施設に電力を供給するもの。同園にオープンした「うみファーム」内にある船舶「ダイニングシップ」を使う。
供給能力は毎時20キロワットで、一般家庭50戸分の電力に相当。船の燃料が満量なら、3カ月間供給を続けられる。システム完成は5月末ごろの予定。
技術協力した東京海洋大学大学院の刑部(おさかべ)真弘教授は、「東日本大震災の際、陸の病院は真っ暗なのに、イカ釣り船に明かりがともっているという状況があった。これを契機に、給電の仕組みを検討してきた」と話す。
刑部教授によると、今まではCO2排出抑制などの観点から、「陸から船」への給電システムは研究が進んでいた。だが、災害対策に有効な「船から陸」のシステムについては検討されてこなかった。「日本は海洋国。船舶の数も多いので、全国に広がってほしい」と思いを語る。
省エネへの取り組みも
三者の取り組みは、市が推進する地球温暖化対策事業「横浜グリーンバレー構想」のモデル事業になっている。給電システムのほかに、2つの柱がある。
1つは、熱交換効率を高めるため海水の熱を冷暖房に使う「海水熱を利用したヒートポンプ」。4月から導入されており、約20%の節電が期待できる。2つ目は、島内で使用中の電力をリアルタイムで把握できる「電力の見える化」の拡大。昨年夏に導入され、ピーク電力10%削減に成功している。
横浜八景島の布留川信行社長は、「震災を契機に、エネルギー問題への意識が強くなった。私たちのできる範囲で貢献していきたい」と話し、事業推進に意欲を示した。
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