万葉歌人も愛した花 ホトトギスと仲が良い「ウツギ」 日本自然保護協会自然観察指導員金子昇(富岡西在住)
「卯の花の垣根は夏の入口」「卯の花が咲いたぞ耳の穴を掘れ」(江戸川柳)
昔から卯の花(ウツギ)が咲き出すと、ホトトギスが南からやってくるので、江戸っ子はホトトギスの初音を聞き、初ガツオを食べると自慢できたと言います。5月はまさにウツギの咲く季節で、万葉歌人にも大変親しまれていました。
「五月山 卯の花月夜 ほととぎす 聞けども飽かず また鳴かぬかも」(万葉集)この歌は「5月の山で卯の花の咲く美しい夜に聞くホトトギスの声は幾度聞いても飽きず、また鳴かないかなあ」の意。このように卯の花とホトトギスの組み合わせは多く見られ、昔の人に好まれていたようです。
小学校唱歌「夏は来ぬ」では、「卯の花匂う垣根に…」とありますが、実際にはウツギの花は匂いません。ここでの「匂う」は、白い花が夏の日差しに映える様子を表したものと解釈されています。ウツギの由来は、茎の中が中空のため「空木」、また材が堅いので釘木に使われ、「打ち木」になったともいわれています。また卯の花は、卯月(旧4月)に咲く花の意。
区内の山林では「ウツギ」よりも「マルバウツギ」の方が多く見られます。マルバウツギは、花序の下の葉に柄はなく茎を抱いており、ウツギには短い柄があります。またウツギの仲間は雄蕊の基が短冊状になっており、その部分がマルバウツギはなで肩で、ウツギは角ばっています。
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