富岡西部町内会 企業と"交流の場"提供 町内の枠越えて集う
地域の居場所として注目を集める「コミュニティカフェ」。金沢区内には2010年に「さくら茶屋」(西柴)、12年に「ほっこり」(東朝比奈)が開所した。一方で、地域住民が常設の店舗を設けるには資金面や運営面のハードルもある。そんな中、企業が店舗の一画を解放し、地域と協働で交流の場を提供する取り組みが富岡西地区で始まっている。
「疲れたー」――年配の女性が訪れると、赤いエプロン姿の女性がコーヒーを淹れる。彼女たちが話に花を咲かせる場所は、不動産を扱う「ミック富岡店」(内山陽嵩(はるたか)マネージャー)だ。
富岡西部町内会が毎月第一木曜日に開く「おしゃべりサロン西部」は今年で3年目。8人ほどが座れる仕切りのある部屋で、100円でコーヒーやお茶を飲め、トイレ休憩もできる。
富岡地域ケアプラザの呼びかけに、同店がスペースを無償開放、同町内会が運営を担うという形で応じた。「駅前なら立ち寄りやすく、地域の人の交流の場になるのではと思った」と話すのは桒折(こおり)勝利会長。町内会で続けるために費用の負担がないことも後押しした。
利用者は高齢者から親子連れなど、1回平均25人ほど。駅から近く、通りには医院や薬局も多いため、同町内会の人々に限らず、買い物や病院帰りの人々が休憩したり、情報交換したりと様々な用途で使われている。内山マネージャーは「事務所のスタッフも巻き込んでくれ、つながりができる」と話す。
地域と関わる入り口
「以前、幼い男の子を連れた若いママが来てくれた」と嬉しそうに話すのは、サロンを手伝う登坂寛子さん。「ここで会った人と、街で挨拶するようになって嬉しい」という声も聞かれる。地域と関わる入り口になるという。地元のコーヒー店の協力を得、コーヒーの淹れ方も習った。
4年前に富岡西地区に越してきたという男性(69)は初回から欠かさず通っている。介護の必要な家族を抱え、家にも近所にも話し相手がいなかったという。右も左も分からなかった男性に声をかけたのが登坂さん。サロンに来て以来、地域に話し相手が増えたという。「冗談を言い合い、堅苦しくない雰囲気が良い。気分転換の一つ」と話した。
さくら茶屋の岡本溢子理事長は「とても良い活動で広がっていけばと思う。無理なくできることが大事」と話す。「若い人から高齢者までふらっと立ち寄って話をし、励まし合える場にしたい」と桒折会長は願う。内山マネージャーは「地域の人が気軽に相談できるような相互関係をつくれれば」と話していた。
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