およそ350年の時を経て、京都・北山で育った台杉が長生寺(六浦)の参道に植栽された。「関東では根づいていない」といわれる西日本独特の台杉文化。京都からはるばる運ばれてきた北山台杉が、横浜の土地に根を下ろしている。
「古くから建築用の垂木を取るために使われていたよう」と話すのは、長生寺の植栽管理を任される米山庭苑の米山拓未さん。最初の選定で土台となる「取り木」をつくり、そこから枝を垂直に伸ばした「立ち木」が垂木の原材料になる。土台から枝が天に向かって伸びるような仕立てが特徴だ。「北山が産地。独特な姿が美しく、庭木に発展したと聞く。柔らかな白杉で、花粉もほぼつかない」
この姿にほれ込んだ住職が、1年ほど前から植栽を計画。関東圏では入手できないため現地に足を運び、5千本以上が育つ中から選んだ。「参道にある親鸞聖人像の両脇に立つのは、樹齢350年と300年もの」。小さくても4、50年ものの台杉が、境内や参道に24本並ぶ。「350年ともなると2、3トンはある。大型トレーラーで運ばれてきた」。北山台杉を育む「真砂土」に近づけるため、土の配合を工夫して迎えた。
「腐りや穴、そこから別の木が育っていたり。風格を感じる」と目じりを下げる米山さん。関東で見られるのは珍しいという。「一生のうちに触れない庭職人もいる。植栽に携われたことは誇り」と胸を張る。「何代の職人が手入れをしてきたのだろう。今まで形を維持して、やっとこの里に下りた歴史の重みを感じる。時代を超えた物語のロマンがありますね」
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