京浜急行電鉄(株)と横浜国立大学、横浜市は、10月29日から金沢区の富岡西地区で、登坂力に優れた「電動小型低速車」を活用した新たな交通システムの実証実験を開始した。急な坂道が多く、バス停や鉄道駅へのアクセスが不便など、同地域が抱える交通課題解決の可能性を探る。
実験は、急な坂道の移動を補助する「富岡第1地区ルート」(1周約4Km)で11月7日まで実施。11月9日(金)から18日(日)までは地形的制約でバス路線の運行ができない「富岡第3地区ルート」(1周約5・4Km)で公共交通機関までの補完的機能を担う目的で行われる。
期間中は京急文庫タクシー(株)の現役ドライバーが運転する4人乗りの電動小型低速車2台が日中1時間あたり2〜3便循環運行。事前に登録した地区内の住民が無料で利用でき、設定された停留所で乗降車する。
車両にはGPSを搭載。乗降時に専用のICカードをタッチする仕組みで、専用サイトでは現在の車両位置や乗車人数などを確認できる。
すでに実験を終えた第1地区では約100人が登録。平均年齢は70代で高齢者が目立ったが、子育てをする30代の登録などもあったという。
首都圏では初の試み
同実験は交通エコロジー・モビリティ財団の公募に京急電鉄が応募し、採択されたもの。すでに石川県輪島市や島根県松江市でも同様の実験を行っているが、首都圏では初めて。同社は今年7月に横浜国大や横浜市と連携協定を締結しており、今回はその一環となる。
実験を前に地区内9千世帯にアンケートを実施。住民の声を取り入れながら今回のルートを設定した。実験後は横浜国大が中心となって利用データを分析。状況等を見て本格運行を検討していく。
横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院の有吉亮特任准教授は「実験は新たな交通手段を地域で育てていくための第一歩。利用者から意見をもらって改善し、末長い付き合いをしていきたい」と話した。
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