「こっちではもう風化しつつあるけれど、被災地には、商売ができずに途方に暮れている人がまだまだいるんです」。そう話すのは、横浜南部市場共栄会の大川貴志さん。南部市場では、震災直後から、物資の直送や被災地の商品を販売するイベントの開催など、支援を継続してきた。岩手県女川町とのつながりを軸に続いてきた活動は、地震発生から1年を前に、さらなる広がりを見せている。
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先月、東京で行われた全国規模の商品展示会。福島県ブースには、必死に商品をアピールする生産者の姿があった。しかし、バイヤーらが向ける目は厳しい。放射性物質への不安から、一部では福島県産品がタブー視されつつあるからだ。
会場を訪れた市場のメンバーは、この光景を目の当たりにした。「せっかくの商品が、このままでは販路を絶たれる。無視して良いのか」。そんな思いから、安全が確認されたさまざまな商品を独自に仕入れ、販売をスタート。試食を出しながら並べると、その美味しさから売れ行きは好調だった。「埋もれている商品を掘り起こすのは市場本来の使命。わたしたちも勉強になりました」と、同市場の柴原哲さんは話す。
現在販売に力を入れているのは、売上の一部が義援金として寄付される「I♥(ラブ)ふくしま がんばっぺサイダー」。今後、主旨に賛同してくれる商店などにも卸していくという。「支援をしたいと思っている企業や商店はたくさんある。被災地との橋渡しができれば」と大川さんは話している。
今後の活動も盛りだくさんだ。直近では3月10日(土)に場内で物販などのイベントを開くほか、今月末には、復興支援のあり方を考えるシンポジウムを県などと共催する予定。さらに、横浜の商店街と協力した催しも計画している。同共栄会の柴岡義幸さんは、「正直、支援を続けるのは大変」としながらも、「でも、市場の仲間がいるから続けられています」と笑顔で語った。
「日本全体を元気にしたい。だからこれからも、素直に、謙虚に活動していく」。取材の最後、そう言い切った”市場人”たちの言葉には、決意と希望が込められていた。
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