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世界遺産と金沢(上) 準備進むも地元の声は... デスク・レポート

文化

公開:2012年3月29日

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 ▽昨秋、世界文化遺産への推薦が決定した「武家の古都・鎌倉」。その構成遺産として、金沢区の称名寺と朝夷奈切通の2史跡が含まれている。称名寺は金沢北条氏の氏寺として、切通は防御の要として、鎌倉の玄関口だった港「六浦津(むつうらのつ)」を支えた。鎌倉文化を語るうえで欠かせないこれらの史跡は、世界に誇るものだ。県や鎌倉市・逗子市、そして横浜市が5年前から取り組んできた登録推進活動が大きく前進したことは喜ばしい。しかし、そんな「悲願の登録」を前に、ある懸念が浮かび上がっている。

 ▽「すべてが不安。みな(登録推進に)積極的ではなくなってきています」。称名寺近くに住む区民のひとりは、ため息交じりに言う。金沢文庫駅から歩いて訪れる参拝客が多い称名寺は、住宅街の只中にある。周辺では、イベント等で観光客が増えると、違法駐車やゴミの不法投棄が横行するという。このまま世界遺産に登録されたらどうなるか。多くの観光客が押し寄せ、今の生活が守られないのではないか―。そんな声が聞かれる。市教育委員会は、町内会役員向けに数回の説明を実施した。だがこの「説明」だけでは、住民の不安は払しょくされていない。

 ▽一方で、登録に向けた動きは熱を帯びてきている。今夏にはイコモス(国際記念物遺跡会議)による現地調査を控え、県などはその準備に奔走。案内表示の整備や公共交通機関のアクセス向上なども検討されている。さらに、記念貨幣発行や展覧会開催など、機運を高めるためのアクションも始まる。それに比べ、周辺住民への説明・対話は、相対的に優先順位が低い。

 ▽世界遺産は、文化財を適切に保護し、後世に伝えることが最も重要な意義だ。誰よりも近い場所で、その文化財に慣れ親しんでいるはずの地元住民が、いま、置きざりにされている印象がある。住民の抱える不安と向き合い、理解を得ることは、登録に向けた準備の中でもっと大きなウェートを占めるべきだ。「できるだけ、住民の生活に支障のないように進めていく」と話す市教委は今後、地元への説明を順次行っていくという。行政には、住民の切実な声をすくい上げ、その解決の糸口を探ることに、これまで以上に力を注いでほしい。

(下)に続く
 

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