「痛そう...」、傷メイク 横浜中・美術部、独学で
「頭の傷は血を流した方がリアルだな」「そのすり傷良いね」―ぞっとするようなこの会話、聞こえてきたのは美術部からだ。
横浜中学高等学校・美術部が「傷メイク」を始めたのは昨年4月。シリコンで傷を象り、乾いたら削って形を整える。その上に血のりや油性塗料で色を重ねていく。20分ほどで完成だ。「あざや血の色を肌になじむように塗っている」と話すのは、傷メイクを提案した皆川暁くん。色合いやシリコンの調合など「本物」に近づくよう試行錯誤してきた。教員や友達に見せ「救急車を!」と心配されたこと多数。中嶋隆くんが「驚かれることが楽しい。このまま電車に乗ってティッシュをもらったこともある」と話すと「人の親切心を」と部長の高野大地くんが突っ込んだ。どうやら「いたずら心」が満たされるらしい。これまで切り傷、すり傷、皮膚に寄生したフジツボ、爪楊枝が刺さった手―バラエティに富んだ「怪我」をしてきた。
昨年10月の文化祭は大盛況。傷メイク体験に小学生から父兄世代まで、120人以上が列を作った。完成度の高さからか体験前に「痛いですか」と聞く人が多くいたという。「来年もやりますよねと聞いてくれる人もいた。期待されているのが嬉しい」と笑顔の皆川くん。「忙しかった」と振り返るが、部員の表情は達成感に満ちていた。顧問の角田俊也教諭は「過去最高の大うけ。自主的にテクニックを編み出し、周りに影響を与えるというのは文化部の理想」と喜んでいた。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>