4月8日に東京・両国国技館で行われたWBCタイトル戦で、五十嵐俊幸選手(29)から世界フライ級王座を奪った元WBAミニマム級王者、八重樫東(あきら)選手(30)=横浜市在住・大橋ジム。「現役でいる以上は高みを目指したい」。見据えるのは目の前の試合。三十路を迎え、円熟味を増す戦士が新たなスタートを切る。
五十嵐選手はアマチュアだった高校時代に1回、大学時代には3回対戦し、全敗している相手。苦手の左利きという不利な要素も加わって挑んだ世界タイトル戦だったが、4R(ラウンド)、8Rの公開採点では審判3人全員の採点が五十嵐選手を上回り、12Rで3―0の判定勝ちを収めた。
かつて最軽量のミニマム級(約48kg以下)だった八重樫選手の身長は160cmで、165cmを超える五十嵐選手とは体格差があった。「頭を上げずにくっついて連打しかない」。前半はポイントを取られても前に出て、中盤以降で取り返すプランだったが「8R時点のポイントで接戦か負けているかの想定だったので、リードしていたのは嬉しい誤算だった」と振り返る。
試合前の減量にも、勝敗を分けるポイントがあった。当日計量では、前日比で八重樫選手の4kg増に対し、五十嵐は7kgも増えていた。「相手は12、13kg落としたと聞いていた。減量が相当きつくて、体重が増え過ぎたのでは」。体力勝負なら有利だと直感した。
フライ級は世界でも強敵が多い階級だ。「勝利の達成感はその日のうちになくなる。瀬戸際で戦い続けることこそやりがい」。タイトルを守るという意識はなく、相手と同じ挑戦者の立場で戦うものと考えている。
「明日はどうなっているか分からない世界」。週1日は完全休養に充てるなど、30歳を迎えて体への配慮も欠かさない。昨年6月に敗れたWBA世界ライトフライ級王者、井岡一翔選手との再戦については「対戦はあくまでもめぐり合わせ。目の前の試合にぶつかるだけ」。次戦が決まるまで、やるべきことに全力を注ぐ。
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