使い勝手のよい西洋剃刀が主流となっている中、昔ながらの日本剃刀を使う理容店が富岡西にある。
店主の中里富美昭さん(65)が日本剃刀を使うようになったのは昨年秋頃から。テレビで日本の刃物を紹介しているのを見て、亡き父の遺してくれた日本剃刀のことを思い出したという。「知人から譲ってもらったと聞いています。でも理容師だった父が、使っていることは見たことない」。日本剃刀を使ったことのなかった中里さんは「砥ぐだけでも試行錯誤の連続だった」と振り返る。何種類もの砥石を試し、砥ぎ方を練習。「最近やっとうまくできるようになりました」
日本剃刀は鋼を地金で挟んで鍛える。鈍刃で、肌へのあたりが柔らかいのが特長だ。砥いだ後は、片手で持った髪の毛をなでるように触っても切れるが、切れ味が長続きしない難点がある。中里さんは、「髭の濃い人が相手だと、1人剃っただけで、砥ぐ必要がでてくる」と苦笑する。
利用客の評判はまずまず。「すごく気に入ってくれる方も。肌の弱い方には特におすすめです」。良く切れると良い仕事が出来る。きれいに剃れると気持ち良い――手間をかけてでも使いたい道具と出会い、さらなる精進を誓う。
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