横浜市は、未婚で20歳未満の子どもを育てる一人親家庭を対象とした「寡婦(夫)控除みなし適用」を4月から開始する。市の2015年度新規事業で、1900万円の予算を計上している。
寡婦控除をみなし適用
税法上寡婦とは、夫と死別や離別をして再婚をしていない女性を指す。そのため、婚姻歴のない一人親家庭の場合は住民税・所得税に対する所得控除を受けることができない現状がある。横浜市の今回の事業は、こうした未婚の一人親家庭も寡婦(夫)とみなし、各種支援を行おうとするもので、市の経済的支援は初の取り組みとなる。10年の国勢調査によると、横浜市内の母子・父子家庭は約2万9000世帯で、その内の1800世帯(推計)がこれにあたる。
対象となるのは【1】婚姻歴がない(現在も婚姻状態にない)母または父で、生計を同じくする20歳未満の子がいる【2】子の総所得金額等38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない【3】父の場合は、合計所得金額が500万円以下、としている(婚姻届はなく事実上の婚姻と同様の事情にある、また税法上の寡夫控除を受けている場合は対象外)。
保育料や住宅費減免
適用事業の内容を見ると、保育所保育料などに関連する「保育」(10事業)をはじめ、市営住宅使用料等の「住宅支援」(2事業)など全40事業を対象とし、申請を行うことで各費用減免や適用区分の変更が可能だ。県内では14年に相模原市や川崎市でも同様の事業が始まったが、川崎市は約34事業の適応に留まっている。市担当者は「40事業の適用は横浜独自のもの。保育料や市営住宅使用料のほかにも、障害児・者支援分野を充実させた」としている。
ただ、申請窓口は各区役所の子ども家庭支援課、高齢・障害支援課、保険年金課に分かれており、「どこの窓口に行けば?」といった混乱も想定される。これに対し市担当者は「母子家庭に交付している交通無料パス更新時や保育園などでも広報している。また、一体的に申請をしてもらう事になるため、各窓口で連携をしていきたい」としている。
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